東芝は、基幹システム基盤に「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」の「Oracle Exadata Database Service」を採用した。日本オラクルが発表した。
この基幹システムは、標準財務会計システム、ビジネス分析(BI)分析システムとその他周辺システムを含むもので、日本を含むアジアのグループ95社、5万人以上の従業員が利用する。
「Oracle Cloud」の大阪リージョンに本番環境、東京リージョンに災害復旧(DR)環境と開発・検証環境を構築し、2021年10月に稼動を開始した。
東芝は、オンプレミスで利用していた「Oracle Exadata」の実績、「Oracle Database」「Oracle Business Intelligence Enterprise Edition」との親和性を考慮し、「Oracle Exadata Database Service」への移行を検証。日本オラクルのコンサルティングサービス部門の支援を受けて、約2カ月にわたり移行アセスメントを行った。その結果、OCIが最小リスク、最低コストでかつ期限内に移行可能であることを確認し、2020年8月にOCIへの移行を決定したという。
OCIへの移行により、東芝ではシステムの利用状況に応じて無停止で柔軟にリソースを調整することができるようになった。これにより性能バランスの最適化による安定性を維持しながら、運用負荷を軽減し、運用コストも10%削減されている。
本番稼動後のパフォーマンス分析によると、1日のうちの数時間だけ負荷が高まる状況になることが判明したが、そのタイミングだけリソースを追加するといった柔軟な対応をOCIによって実現している。
また、処理性能が向上したことにより、3時間ごとに行っているBI分析処理の完了率も向上した。Oracle Cloudの東京および大阪リージョンのデータベースを「Oracle Data Guard」によって自動的に同期させ、基幹システムに不可欠な高可用性とデータ保護も実現した。
今回移行した財務会計システムとBI分析システムは、以前はデータベース基盤としてOracle Databaseを他社ハードウェア上で、BI分析基盤としてOracle Business Intelligence Enterprise EditionをOracle Exadata上に構築し、オンプレミスで運用していた。その中でハードウェアの保守期限を迎えたことやハードウェアの老朽化に伴い、システム基盤を新たな環境へ移行する必要があったとのことだ。
また、データセンターの閉鎖計画も決まったことから、財務会計システムではアプリケーションサーバー7台、データベースサーバー4台、約70テラバイトのデータ、分析システムにおいてはアプリケーションサーバー10台、データベースサーバー8台、60テラバイトのデータを含む大規模なシステム基盤の本番環境に加え、DR環境、開発・検証環境を含む新たな環境構築と移行を、限られた期間内に、経理部門をはじめとする5万人以上のユーザーへ影響を及ぼすことなく行うことを要件としていた。