海外コメンタリー

ケーススタディで探る、エッジツークラウドを活用した未来のITシステムとは?

David Gewirtz (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2023-01-05 06:30

 企業にとって最優先事項となっているデジタル変革はここ10年、大きなテーマであり続けている。しかし2020年に入り、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックへの対処というかたちで、デジタル変革の流れが大きく加速された。そして5年、さらには10年という単位で変革のロードマップを推進していた企業が突如として、5~10週間で急進的な改革を進めるようになった。

 本記事では、典型的な企業を想定し、成長と利益の面での目標を達成する上で組み込む必要があると考えられるさまざまなテクノロジーに目を向けることにした。

 こうしたイニシアチブの多くは、現実世界の企業において実行されていても機密扱いにされている場合が多いため、本記事では家庭用品と建築用品を扱う小売店をチェーン展開するHome-by-Homeという架空の企業を想定し、話を進めていきたい。そうすることで、現実に存在する企業であれば公にしたくないであろう業務運用についても詳細に説明できるはずだ。

ケーススタディ:Home-by-Home

 Home-by-Homeが最低限必要としているのは、店舗における一般的なレジ処理と、顧客との取引処理をこなす能力だ。これは、ほぼすべての店舗で実行されている業務だとはいえ、テクノロジーとイノベーションが密接に絡みあったものとなっている。

 精算処理が実行されるたびに、データ更新という宝探しが始まる。また、製品が購入された時点で、在庫数を減らす必要があり、製品の再発注や、倉庫から店舗への発送も必要になるかもしれない。こうした意思決定は、人間の購入担当者に通知される場合もあれば、人工知能(AI)によって管理される場合もある。そしてAIは、最適な決定を下すために世界各地における価格や入手可能性といったさまざまな点を考慮するようになっているはずだ。

 個々の顧客や店舗、地域に関するデータはアナリティクスエンジンに引き渡され、購買傾向に関する洞察を製品マネージャーにもたらすために用いられる。またこうしたデータによって、ライブデータにアクセスできなければ明らかにならなかったような新たなトレンドが浮かび上がる場合もある。

 Home-by-Homeの店舗のほとんどでは、無線式の電子棚札(商品棚に置かれ、商品の価格を表示する小型のディスプレイ)を採用しているため、販売状況や需要、有効在庫を取り扱うまた別のAIプロセスによって、商品棚に表示されている価格を動的に変更したり、その場で割引価格を提示したりできるようになっている。

 Home-by-Homeは、世界的な規模でサプライチェーン問題を追跡し、天候や政治、運送関連の分析を考慮に入れることで、商品を必要な場所に、そして必要とされている時に確実に届けられるようにする必要がある。ここでもAIが活用されている。実際のところ、AIはHome-by-Homeの大規模ネットワーク全体とサプライチェーンを通じてますます大きな役割を担うようになっている。

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