富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI、旧富士ゼロックス)は2月28日、デジタルトランスフォーメーション(DX)ソリューションの新たな海外事業戦略として、豪MicroChannel Servicesを買収したことを発表した。3月1日から「FUJIFILM MicroChannel Services」(新MicroChannel)がオセアニアやシンガポールを中心に「Microsoft Dynamics 365」やSAP、Sageなどを対象にした主要基幹システムを販売し、導入を支援する。
富士フイルムBI 代表取締役社長 最高経営責任者(CEO) 浜直樹氏は今回の買収で「基幹システムビジネスに加えることによって、ビジネスソリューション事業のグローバル展開を本格化させたい」と述べた。富士フイルムBI全体の売上高は、2021年の2605億円から2027年度までに4000億円以上を目指す。
(左から)富士フイルムビジネスイノベーション 代表取締役社長 CEO 浜直樹氏、同社 執行役員 アドバンスドインダストリアルサービス事業本部長 井上あまね氏
「Dynamics 365へのリプレースも半年で実現」
富士フイルムBIが3月1日付で株式を取得、買収したMicroChannelは、Microsoftのソリューションパートナー認定を持ち、オセアニア地域でSAPやSageの基幹システム販売、導入で存在感を示してきた企業だ。富士フイルムBIは20年以上も前からオセアニア地域のビジネスを推進しているという。
MicroChannelの買収に伴って、「オセアニア地域でオフィスソリューション販売を担うFUJIFILM Business Innovation Australia、中堅中小企業向けのITアウトソーシングサービスを提供するFUJIFILM CodeBlue Australia、MPS(マネージドプリントサービス)事業を展開するFUJIFILM Upstream Solutionsの3社によるシナジー(相乗効果)を創出し、(MicroChannelの)買収成果の拡大」(浜氏)を目指す。
買収金額は未公表。オーストラリアで5社、ニュージーランドで2社の関連企業を持つ富士フイルムBIだが、買収後の新MicroChannelには旧MicroChannelに在籍する約200人が参加する。
富士フイルムBIは2022年1月に基幹システムビジネスへ参入するため、富士フイルムデジタルソリューションズを設立した。富士フイルムBI 執行役員 アドバンスドインダストリアルサービス事業本部長 井上あまね氏は、同社が保有する技術力を強調した。
「基幹システムビジネスは自社導入の強みがある。富士フイルムデジタルソリューションズにはMicrosoft認定資格者が多数在籍。(既存の基幹システムから)Dynamics 365へのリプレースも半年で実現した」
業務工程をテンプレート化したBaaS(Business Process as a Service)と、基幹システム導入時に業務内容を標準機能に合わせる「Fit to Standardで展開」(井上氏)していく。
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今回の買収は目的が2つあると説明する。1つは基幹システムビジネスのグローバル展開の本格化。井上氏はこう説明する。
「起点となるオーストラリアは、富士フイルムBIにとって重要な市場。商習慣も欧米に近いことから、クラウド型基幹システムが普及しやすく、市場の高い成長性も見込まれている。対象となる中堅中小企業も企業成長に伴って業務効率向上を目的としたクラウド型基幹システムの新規導入需要が増加中。われわれが重視するFit to Standardの需要も高い」
もう1つは浜氏の発言にもあった相乗効果への期待。「以前からわれわれはアジアやオセアニアでビジネスを展開してきた。MicroChannelはソリューションサービスを展開する複数の関連企業を備えている」(井上氏)と、自社ソリューションを組み合わせてビジネスソリューション事業の効果を目指しつつ、海外の売上高比率を現在の45%から60%まで押し上げる。
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