千葉県に本社を構える日本貨物航空(NCA)は、採算管理をウォルターズ・クルワーが提供する経営管理プラットフォーム「CCH Tagetik」で再構築した。再構築を支援したTISが3月3日に発表した。
CCH Tagetikでは統合型のプラットフォーム上で財務と各事業部門のデータを連携させ、常に一元化したデータに基づいた作業ができる。現在は約40カ国で使用されており、今回の導入では、多機能性と拡張性、直感的なユーザーインターフェース(UI)が評価されたという。
NCAは、2008年から採算管理の一連の業務をERPに組み込んだアドオンで対応してきたが、事業の多角化に臨機応変に対応できるよう独立したシステムとして分離し、機動性や柔軟性を向上させることにした。約1年で確実に新システムへ移行させるための具体的な提案をシステムインテグレーター(SIer)に求める中で、TISはCCH Tagetikの導入による再構築をNCAに提案したという。
TISをパートナーに選定した理由としてNCAは、「TISが提案したCCH TagetikがNCAの求める機能要件を全て満たしていたこと」に加え、「TISが同製品をほかの顧客に対して半年で稼働させた実績を持っている」「同製品に精通したメンバーがプロジェクトを推進し、NCAはプロジェクトの専任者を置く必要がなかった」「プロジェクトの品質やスケジュール管理などのマネジメント力を有していた」などを挙げた。
CCH Tagetik導入プロジェクトは2021年4月に開始。2022年3月末に予定通りカットオーバーを迎え、翌月から同製品による採算管理システムの稼働が始まったという。
導入後、採算管理システムは安定稼働を続け、現在は保守フェーズに入っている。従来のシステムと比べ、複数の社内システムから収支計算に必要な情報を収集・整理する速度が向上し、約15分かかっていた一連の処理が3分程度に短縮されたという。その結果、毎週の収支レポートの作成時間が約半日短縮した。
これにより、マーケティング担当者や営業担当者に収支レポートを早い段階で渡せるようになり、各担当者がレポートを確認する時間が増え、異常値を見落とすなどのリスク回避や“考える時間”の創出につながっているという。NCAは今後、CCH Tagetikが提供している収支予測シミュレーションの活用も検討しており、翌週/翌月の収支予測シミュレーションを行うことで、より効果的な事業戦略を立てられるようにしていくという。