パブリッククラウドサービスの多くはプロプライエタリーなものであり、オンプレミス環境と同様の柔軟性が必ずしも提供されるわけではない。そのため、ハイブリッドクラウド環境の管理は企業にとって頭痛の種となっている。
Hewlett Packard Enterprise(HPE)のシンガポール担当マネージングディレクターであるJoseph Yang氏によると、企業は一部のワークロードをオンプレミスにとどめつつ、パブリッククラウドからのメリットを享受しているが、これら2つの環境を連携させるのは依然として難題だという。
同氏によると、ハイパースケーラーは今や、クラウドインフラの提供にとどまらず、APIを含むさまざまなアプリケーションサービスを提供するようになっており、企業顧客はパブリッククラウド上でのアプリケーションの開発や展開をより容易に遂行できるようになっているという。
しかし、これらの大半はプロプライエタリーなものであるため、クラウド上で実行するために開発したアプリケーションをオンプレミス環境から監視・管理することは容易ではない。つまり、ハイブリッドクラウドモデルの効率的な運用は一筋縄ではいかない。
Yang氏は米ZDNetとのインタビューで「顧客がハイブリッド環境を検討する際、自らのワークロードをオンプレミスとパブリッククラウド間で移行できるかという点とともに、(異なる)クラウドプラットフォーム間では移行できるかという点について考慮する」と述べた。
クラウドやソフトウェアのベンダーは、そうしたニーズに応えるために、オンプレミスのスタックをパブリッククラウド内のベアメタル環境上で稼働させるなど、さまざまなアプローチを考え出している。しかし、これにより顧客は特定ベンダーのインフラに囲い込まれてしまう上、パブリッククラウドでベアメタル環境を稼働させるコストは高くつく。
また、クラウドベンダーらが現在提供している、ハイブリッドワークロードの管理に向けたソリューションは、企業が利用している自社のオンプレミス環境と比べると、性能や柔軟性の面で制約がある場合も多いという。
同氏によると、HPEは「HPE GreenLake」を通じてそのギャップを埋め、「統一されたエクスペリエンス」を提供しようとしているという。GreenLakeは、企業が必要とするハードウェア/ソフトウェアを、利用したリソース分だけ支払うという従量課金形式で提供し、企業によるハイブリッド環境の活用を支援するプラットフォームだ。
同社はGreenLakeを、企業が複数のパブリッククラウドやデータセンター、エッジネットワークをまたがって自社のワークロードとデータを管理できるようにするクラウド管理プラットフォームと位置付けている。また「HPE GreenLake Central」は中央集中型のコントロールプレーンとセルフサービス型のポータルを提供しており、顧客はハイブリッド環境全体でのIT運用を一元管理できるとともに、利用量やセキュリティ、コスト、コンプライアンスといったさまざまな指標を監視できる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。