AT&TとIBMは約1年半前、企業がプライベート5Gネットワークなどでハイブリッドクラウドコンピューティングを活用できるよう支援するため、提携を強化した。そして、両社は現在、3つ目の共同イノベーションサイトの開設を進めている。メリーランド州のIBM Bethesda Labにシミュレーションセンターを構築し、公共セクターとのコラボレーションを拡大する。この環境は、セキュアなセルラー、人工知能(AI)、クラウドなどのテクノロジーのソリューションテストベッドとなる予定だ。
AT&TとIBMはこれまでに2カ所で共同イノベーションサイトを開設している。IBM Researchの本社であるIBM YorktownはAT&Tの5Gを使用できるようになっており、IBMとRed Hatの業界ソリューションやサービスをベースとする5Gイノベーションの場を実現している。顧客は両社の研究者、設計者、コンサルタントと協業できる。また、AT&TとIBMはテキサス州プラノのAT&T 5G Innovation Studioでも共同でイノベーションに取り組んでいる。AIと機械学習をネットワークインサイトに利用し、 IT、OT、IoT、5Gネットワーク全体で可視性を向上させている。
AT&TのモビリティおよびIoT担当バイスプレジデントWilliam Stovall氏は米ZDNetに対し、「5Gやクラウド、エッジコンピューティングについて考えるとき、企業が必ず直面する難題の1つは、これらが非常に加速していることだ」と語った。「難しいのは、これをどのように着手し、いかに実践するかということだ。したがって、これらのテクノロジーが実際に利用されているところを見る場や共同で生み出す機会を顧客企業に提供することにはメリットがある。彼らが実際にこれらのテクノロジーを導入するためのより優れたロードマップを実現できるようになる」(Stovall氏)
共同イノベーションラボはさまざまな業界にサービスを提供することを目的としており、製造業やヘルスケアなどの分野で特に明確なユースケースがある。公共セクターでも、ファーストレスポンダーへの5G対応通信サービスの提供や、軍隊への拡張現実(AR)/仮想現実(VR)環境の提供といった有望なユースケースが数多くあるだろう。
新しいシミュレーションラボの開設は、拡大するサイバーセキュリティの脅威から政府のデータを保護することが不可欠になっている今、非常に時宜を得ている。Joe Biden政権は2021年、米国のサイバーセキュリティ強化を目指す大統領命令を発出し、その後米国のデジタルシステムを保護する複数の措置を講じている。
IBM Cloudの最高技術責任者(CTO)Hillery Hunter氏は米ZDNetに対し、「IBMには、これらのエッジデプロイメントのセキュリティとパフォーマンスの両方をいかに向上させるかについて、さらに高度な理解につなげられるセキュリティ、AI、アナリティクスにおける実績とバックグラウンドが数多くある」と話した。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。