エネルギーの『見える化』が生み出すデータセンターの効率化:第3回--仮想化

佐志田伸夫 シュナイダーエレクトリック株式会社

2012-05-24 17:40

シュナイダーエレクトリック株式会社 取締役の佐志田伸夫氏が執筆する特集「エネルギーの『見える化』が生み出すデータセンターの効率化」では、これまで概論、IT機器の発熱・温度と冷却風量について解説してきた。

第3回となる今回は、サーバおよびストレージ仮想化のメリット、そして仮想化が新たに生むことになったデータセンターの課題を解説する。(ZDNet Japan編集部)

省エネを実現する「仮想化」

 データセンターの中の発熱量・発熱場所をダイナミックに変動させるもうひとつの大きな要素として、サーバなどIT機器の「仮想化」があります。

 通常、サーバは必ずしも性能の100%で運転しているわけではありません。むしろ、CPUの利用率は100%よりもずっと低いことが大半です。そこで、100%以下で動作している複数のCPUの仕事を1台のCPUにまとめて実行させよう、という手法が「サーバ仮想化」です。

 使用率が低いCPUを集約して1台のCPUで処理できれば、不要になったCPUを停止することによって大幅な省エネが可能になります。機械としてのサーバのことを「物理サーバ」、統合される一つひとつの仕事の単位を「仮想サーバ」とも呼びます。

 例えば、使用率が10%の物理サーバ10台を、10台の仮想サーバを1台の物理サーバに収容するように統合できれば、9台の物理サーバを停止することができるので、消費エネルギーを10分の1に減らすことができることになります(図1)。この場合、統合された物理サーバには処理が集中するため、部分的には高密度に発熱する場所が出てきます。仮想化ソフトウェアを使えば、これらのダイナミックな切り替えや省エネ運転が自動的に実行されます。

図1 仮想化によるサーバ統合と省エネ 図1 仮想化によるサーバ統合と省エネ
※クリックで拡大画像を表示

 ストレージの仮想化は少し違う概念ですが、省エネに貢献するという意味では同じです。シンプロビジョニング技術を使うと、実際の物理ディスク容量以上の大容量をサーバに仮想的に割り当てることができるため、実際に必要なストレージ容量がサーバに割り当てられる容量よりも少ない場合には、空き容量分については物理デバイスを準備する必要がなくなり、その分の消費電力を削減することができます(図2)。運用中にも、これらの割り当てはダイナミックに切り替えられ、データに対するアクセスの状態によって消費電力(発熱)や発熱する機器の物理的な場所もダイナミックに動きまわることになります。

図2 ストレージの仮想化 図2 ストレージの仮想化
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仮想化が生んだ新たな課題

 前回説明したサーバやIT機器単体の省エネ、そして今回説明した仮想化は、それぞれの機器の省エネには貢献しましたが、データセンター全体では別の問題を引き起こしました。

 それは、データセンター内の発熱量が、それぞれのサーバやストレージ機器の運転状態に応じてデータセンター内で時々刻々と変化し、更にそれらの物理デバイスがデータセンター内で分散していれば、発熱場所もダイナミックに移動するようになった訳です。これに対して、従来のデータセンターでは、室内の冷却能力・送風量はほぼ固定されていたため、データセンター全体としての省エネはかえって難しくなってしまいました。

 次回は、発熱量・発熱場所の時々刻々の変化が、データセンター全体にどのような影響があるかについて解説します。

参考資料:
グリーン・グリッド ホワイトペーパー#19「仮想化によるデータセンター効率の改善」

佐志田伸夫氏
著者紹介:

シュナイダーエレクトリック株式会社 取締役 佐志田伸夫
技術士(電気電子部門)

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