ベトナムでビジネスをする

ベトナム交通事情のウラ側

古川浩規(インフォクラスター)

2014-05-13 07:30

単なる移動手段ではないバイク

 ベトナムでは対人口比のバイク普及率が50%程度と言われていることからも、庶民の足としてバイクがいかに浸透しているかがうかがえます。特に日本メーカー製のバイクは重宝されており、バイクを指す一般名称として「HONDA」と呼ばれることがあるほどです。そのため、ヤマハのバイクのことを「YAMAHAのHONDA」と言う呼ぶことすらあります。


とある工業団地の朝の出勤風景。道いっぱいに広がったバイクの洪水が延々と続いていく様は、何度見ても壮観。

 しかし、いくら日常の足になっているからと言って、バイクであればどれも同じというわけではありません。ベトナム人なりの選び方があるのです。

 ベトナム人にとっては、「どのバイクに乗っているか」が自分を表す重要な指標の一つであり、大切なステータスシンボルとなっています。ハイフォン出身の知人女性は、「良いバイクに乗っているけど見た目が悪い男性を彼氏に選ぶか、ダメなバイクに乗っているけどイケメンを彼氏に選ぶか、どちらか選択しろと言われたら難しいわね……」と言い切るほどです。

 そうしたベトナム人の中で人気のある車種の代表が、男性であればホンダ「Air Blade」、女性であればホンダ「Lead」です。どちらもスタイリッシュなスクータータイプで、特にハノイやホーチミンなどの大都の若者達が颯爽と乗っているバイクは、これらであることが多いです。価格はいずれも約20万円。ベトナムではバイクの売れ筋が1台5万円から10万円程度と言われているので高級品なのですが、それでも若い人を中心に買い求める人は後を絶ちません。


女性の人気車種の一つであるホンダの「LEAD」。シートやフレームなどにアフターパーツでデコレーションをする人も。

 ベトナムではIT業界は比較的高収入の職種としてとらえられていますが、それでも初任給の半年分近くにもなる金額です。日本で高価な軽自動車や小型乗用車を購入するのと同じ金銭感覚でしょうか。

 なお、バイクの普及率が高くなるにつれて、各メーカーはさらなる高級化路線を展開し始めています。イタリアのピアッジオ社製「ベスパ」がこのクラスの代表で、30万円以上もする製品を投入しています。また、ホンダやヤマハなどの日系メーカー各社も高級モデルを投入しています。しかしこのベスパですら、ハノイやホーチミンといった大都市で日常の足として使っているベトナム人は珍しくありません。「バイクと言えば、ホンダのカブ」という見慣れた光景は、ベトナムでも過去のものとなりつつあります。


とある駐輪場にて。ガードマンがオートバイを整然と並べていく。

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