オフショア開発、ベトナムの魅力とは--エボラブル アジアに見るビジネスの流儀(1)

坂本純子 (編集部)

2013-08-02 07:30

 これまで中国を中心としてきた製造や開発は、賃金の高騰や社会情勢などを受けて他のアジア諸国へと模索する動きが続いている。ベトナムは、オフショア開発として注目を集めている国の1つだ。

活気のあるベトナムホーチミン
活気のあるベトナムホーチミン

 日本とベトナムの時差はマイナス2時間。日本の正午がベトナムでは午前10時で、大きな時差がないのも魅力の一つだ。また、ベトナムの祝日の数は日本の3分の1ほどで、稼働日は日本よりも多い。

 4月にはエン・ジャパンがベトナムでNo.1と言われる大手求人情報サイトと人材紹介サービスを展開するNavigos Groupを買収し、ベトナムで話題になったという。エンジャパンは、「ASEAN加盟国の中で3番目に多い約9000万人で、平均年齢は28歳と非常に若いことから今後の経済成長が見込まれる」としている。

エボラブル アジア代表取締役社長の大山智弘氏
エボラブル アジア代表取締役社長の大山智弘氏

 「ベトナムでこんなに急成長している会社は、ほかにないのではないか」──そう自信を見せるのは、エボラブル アジア代表取締役社長の大山智弘氏だ。大山氏はユナイテッドアローズ、リクルートを経て2012年8月、代表取締役社長に就任した。

 2012年3月に設立したエボラブル アジアは、ベトナムのホーチミンにある。学校やオフィスビルなどが並ぶディンティンホアン通りの「Saigon Finance Center」内にオフィスを構える。

学校やオフィスビルなどが並ぶディンティンホアン通りに位置する「Saigon Finance Center」
学校やオフィスビルなどが並ぶディンティンホアン通りに位置する「Saigon Finance Center」

 2013年4月に131人としていた社員数は、7月現在は162人に急増しており、「2014年3月までに300人に増やす」と意気込む。

 エボラブル アジアは、ITオフショア開発事業と、データ入力業務などのビジネスプロセスアウトソーシング事業が2本柱だ。

 同社の開発事業は、クライアントの担当者がプロダクトマネージャーとしてベトナムに1名以上常駐し、ベトナム人スタッフに直接指示する「ラボ型」と呼ばれる手法を特長とする。直接指示することでコミュニケーションロスを防ぐほか、仕様書のやりとりや見積作成業務などの負担を低減することで、管理費用のコストを削減できるという。

 オフショア開発の課題として、(1)クライアントの仕様がきちんと伝わらないといったコミュニケーションミス、(2)言語の壁や商習慣の壁、(3)開発コストの高騰──が挙げられる。

エボラブル アジアのオフィス風景
エボラブル アジアのオフィス風景

 「日本とリモートでやろうとするので、意思が伝わらない。AがA'で返ってくる理由はそこにある。顔を合わせてプロダクトマネージメントをしていくことが重要で、担当者にはベトナムまで日本から来てもらったりSkypeなどで面接をして一緒に働く人を選んでもらう。人材ビジネスにいたので分かるが、明るいか暗いかなど、人のタイプのマッチングはプロジェクトの成功に大きく起因している」(大山氏)

 人材の確保は、大山氏が個人的に国費留学生とのネットワークを持っていることや口コミ、広告などによって行っているという。

 また、採用はトレンドも意識しているという。ベトナムでも賞与の時期は決まっており、テト正月(旧正月)前は動かない。その前に求人広告を打っておくかが重要で、さらにどういう広告を打ったら響くのか。そういったノウハウを持っているとした。

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