2月22日に東京で「Vietnam ICT Day」が開催されました。1年前のVietnam ICT Dayの記事と比較しながら見てもらえると興味深いかもしれません。
2015年主催した一般社団法人 情報サービス産業協会(JISA)とベトナムソフトウェア協会(VINASA)に加え、本年は独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)も主催者として名を連ねています。
自ら司会も務めたVJCのHung会長。日本語も堪能で、日本とのつながりは20年以上になる。VJCの会長職も長く勤めており、ベトナムソフトウェア業界における対日キーパーソンの重鎮であることは間違いない。
2016年のテーマは「Vietnam Japan IT Cooperation heading to TPP」で、「Vietnam - Japan IT cooperation: how to match expectation of both sides」と「HR development for Vietnam – Japan ICT cooperation」というパネルディスカッションも同時に開催されました。
今回の記事では、ベトナム側からは16社1大学、日本側からは100人程度が参加した会議の模様をレポートしつつ、ベトナムビジネスが変わりつつある様子を伝えます。
ベトナムへのオフショアに以前の勢いはない?
ベトナムと日本をつなぐ今回のイベントは、ちょうど10年前に開催されたイベントがきっかけとなっています。その意味で、今回、東京で行われたVietnam ICT Dayと、今秋にベトナムでの開催が予定されているJapan ICT Dayは節目のイベントになります。
以前に比べて参加者が少ない印象は否めない。良く言えば、日本のソフトウェア業界においてベトナムでのオフショア開発が浸透したということなのだろうが、予想外のオフショア開発の失敗を積み重ね、これ以上の期待はできないという日本企業も多くなったのかもしれない。
ただ、残念ながら東京で開催されるVietnam ICT Dayは、年を追うごとに規模が少しずつ小さくなっている気がします。会場に足を運び入れた際の第一印象では、2015年との比較において参加人数が2割ほど少ないのではないかということでした。
一部新規参入企業もありますが、ベトナムから参加する企業も似たような顔ぶれとなっています。当日のVINASAの資料によれば、ベトナムは日本にとって第2番目のオフショア先になっており、ベトナムでオフショア開発を行うこと自体、すでに目新しいことではなくなっているのかもしれません。
また、テーマも相変わらず「もっとオフショア開発をベトナムに流してください。そして、ベトナムとのオフショア開発を成功させるにはどのような課題を解決すればよいのでしょうか」といったことが中心です。
議論も「ベトナム側とのコミュニケーションをいかにとるか」「ベトナム人エンジニアから課題を聞き取るにはどのようにすればいいか」「日本側が『行間を読ませない発注をすること』と『仕様変更を抑える』にはどのようにすればいいか」ということに終始してしまいます。テーマに新味がないことでマンネリ感が出て、日本側参加者が減る傾向にあるのかもしれません。
VINASAの一組織であるVietnam – Japan IT Cooperation Club(VJC)のHung会長から報告のあった「Overview of Vietnam ICT Industry」に、ベトナムの情報産業の売上規模が出ていました。
これによると、これまでベトナムの情報産業をけん引する役割を果たしていたハードウェア関連産業が前年を下回っています。また、ソフトウェア関連産業、デジタルコンテンツ関連産業についても以前ほどの勢いがなく、前年並みの数値となっています。
ベトナムの情報産業として全体の事業規模が増えていないという状況は、ベトナム情報通信省(MIC)のデータでは近年では初めてです。
Industry | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 |
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Total IT industry | 6,167 | 7,629 | 13,663 | 25,458 | 39,530 | 27,488 |
Hardware industry | 4,627 | 5,631 | 11,326 | 23,015 | 36,762 | 24,618 |
Software industry | 850 | 1,064 | 1,172 | 1,208 | 1,361 | 1,383 |
Digital content industry | 690 | 934 | 1,165 | 1,235 | 1,407 | 1,487 |