IDC Japanは6月26日、国内のビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)サービス市場の動向を発表した。人事、財務経理、調達購買、カスタマーケアという主要4業務で構成される同市場は、福利厚生BPOやオフショアBPOの利用拡大などを背景に2016年まで堅調に拡大すると予測している。
主要4業務の国内BPOサービス市場規模は2011年で5635億円。2016年までは年平均成長率(CAGR)4.2%で推移して6937億円になると予測しているが、その成長率は一様ではないと説明する。
例えば人事BPOの中でも、コモディティ化が進む給与計算業務の2011~2016年のCAGRは3.4%だが、大企業を中心に利用拡大が期待される福利厚生BPOはCAGRが5.3%と比較的高い成長率で推移し、298億円から385億円に拡大すると予測している。
BPOサービスのオフショアからの提供拡大は、低価格化が進み、これまでBPOを利用してこなかった企業を開拓し、サービス利用範囲の拡大を促すことで、市場の拡大要因になるとする。主要4業務でオフショアから提供される国内BPOサービスは、2011~2016年のCAGRが7.5%で推移し、オンショアの4.1%と比較しても、高い成長率で推移するとみている。
主要4業務に含まれない、金融向けのバックオフィス業務や製薬向けの治験関連業務など特定の業種業態に固有の業務を受託する「産業特化型BPO」サービスも市場が拡大していくとみている。
国内BPOサービス市場は堅調な成長が見込まれる一方で、給与業務やカスタマーケア業務など一部のセグメントでは、競争激化による価格低下が進んでいる。各BPOサービスベンダーのサービス提供範囲が拡大していく中での競争環境の変化も起こりつつあると指摘される。
IDC Japanの植村卓弥氏(ITサービスリサーチアナリスト)は「BPOサービスベンダーはこれまでの個別市場ごとに閉じられていた競争範囲が徐々に複数業務に拡大しつつあることを認識する必要がある」と提言。その上で「新しい顧客を開拓するために、中堅中小企業や官庁、自治体など、これまでBPOをあまり活用してこなかった顧客に対するアプローチを強化することも重要」と説明している。