日本オラクルは9月14日、「Oracle Database 11g Release 2(R2)」を発表した。x86 Linux(32/64bit版)向け製品は11月17日より、他プラットフォーム向けの製品についてはそれ以後の出荷となる。
「Release 1」にあたる「11g」のリリースから約2年ぶりのリリースアップ。日本オラクル代表執行役社長、最高経営責任者の遠藤隆雄氏は「企業システムの根幹はデータベースであり、それは今も昔も変わらない。品質にこだわる日本のユーザーに対応すべく、(11gの登場以降も)ユーザーやパートナーとの協力のもと、品質を高めるためのアクションを行ってきた」と述べ、製品の品質に自信を見せた。
Oracle Database 11g R2の開発テーマは「Lowering IT Costs」であったという。字義どおりにとらえるなら「ITコストの削減」だが、日本オラクル、常務執行役員システム事業統括本部長の三澤智光氏は、「オラクルが言う“コスト削減”は、既存の資産を継承しつつ、ITインフラの構造を新たな技術でデザインし直し、サービスレベルを向上させる“攻め”のコスト削減である」点を強調した。「既存資産の継承と新しい技術の融合により、より低コストかつ堅牢なインフラストラクチャを提供できる」という。
三澤氏は、11g R2の新機能の中から5つのポイントを選んで紹介した。その5つとは、「Oracle Grid Infrastructure」「RAC One Node」「Automatic Storage Management(ASM)の機能拡張」「In-Memory Parallel Query」「Online Application Upgrade」であった。
Oracle Grid Infrastructureは、Oracle RAC(Real Application Clusters)とOracle Clusterwareによるサーバリソースの仮想化技術と、Automatic Storage Management(ASM)によるストレージの仮想化技術とを組み合わせ、物理サーバの存在に捕らわれずにサービスに対してデータベースを提供する機能。物理サーバの構成を動的に変更、再配置することで、従来の「サーバハード主体」から「サービス主体」でのリソース提供を可能にする。
RAC One Nodeはオプションとして提供される新機能(価格未定)。シングルインスタンスのデータベースで、内部的にRAC技術を適用し、複数の小規模データベースを集約する。これにより、メンテナンス時に停止時間なしでのローリングパッチ適用や自動フェールオーバーを実現するという。一般的なサーバ仮想化の技術では、動的なサーバ構成の変更時などに実行中のトランザクションに対する保証が得られないが、RAC One Nodeではデータベース主体の構成変更を行うことで高い堅牢性と信頼性を確保するという。