日本アイ・ビー・エム(IBM)は7月28日、新型メインフレーム「IBM System z9 109」を発表した。既存メインフレーム「eSerever zSeries z990」に代わる旗艦マシンとなる。価格は公表していない。開発期間は3年にわたり、12億ドルを投資を行い、5000人の技術者が開発に参加している。
z9 109は5種類のモデルが存在し、搭載できるCPUの数が異なる。2005年9月から順次、出荷が開始される予定となっている。
処理性能はz990の最大2倍となり、メモリーも2倍搭載可能であり、1日当たりに10億トランザクション処理ができる。対応する基本ソフト(OS)はz/OS、z/VM、Linux for System z9など。同マシンには「System z9 Application Assist Processors(zAAPs)」と「Linux on zSeries and Intergrated Facilities for Linux(IFLs)」の2つの専用プロセッサが搭載される。
zAAPsは、Javaコードだけを実行するプロセッサであり、Javaで書かれたアプリケーションを効率よく統合化できる。IFLsはLinuxのデータ処理に特化したプロセッサであり、z9 109内に仮想のLinuxサーバを構築し、企業内に分散しているサーバの統合を推進できる。またz9 109は「Virtualization Engine (VE)2.0」と呼ばれる仮想化技術を搭載しており、サーバの統合を図り、情報システムの運用管理コストを削減できると、同社は説明している。
- 出澤研太・システム製品事業担当執行役員
同社の出澤研太・システム製品事業担当執行役員は「現在、企業内に分散するサーバは、運用管理コストを大きく押し上げ、IT関連費用の中で人件費が6〜7割を占めるという結果をもたらしている。z9 109へのサーバ統合は運用管理コストを削減し、TCO(情報システムの総所有コスト)を最適化できる」と強調している。同社はz9 109について、サーバ統合に加え、zSeriesからの移行、データベース統合と基幹系システムの再構築を企業に提案していくとしている。
日本IBMはあわせて、今後展開するメインフレーム、サーバの名称を「IBM eServer」から「IBM System」にすると発表した。現在出荷しているメインフレーム、サーバの名称は変わらない。今回発表されたz9 109が第1弾となる。
UnixサーバのeServer pSeriesはSystem pに、統合アプリケーション・サーバeServer iSeriesはSystem iに、IAサーバeServer xSeriesはSystem xになると見られる。出澤氏は「IBM System製品は2006年6月までにラインナップが揃う」との見通しを説明している。今回の名称変更は、IBMが新しくまとめたシステム製品事業中期戦略「IBM Systems Agenda」に基づく。