サン・マイクロシステムズは12月7日、新しく開発したUltraSPARC T1プロセッサを搭載したサーバ2機種を発表した。UltraSPARC T1は、開発コード名「Naiagara」と呼ばれていたものだ。
新サーバは、Sun Fire CoolThreadsサーバ製品群の「Sun Fire T1000」および「Sun Fire T2000」となる。両サーバは、最大32スレッドが実行可能で、消費電力が「電球よりも低い73ワット」(サン・マイクロシステムズ 代表取締役社長 Dan Miller氏)のT1プロセッサを搭載したラックマウント型サーバだ。
現在、同社が提供しているAMD Opteronプロセッサを搭載したサーバ群と、UltraSPARC IV+を搭載したサーバ群に、CoolThreadsサーバ群が加わったことで、「計算能力の高いシングルスレッドのx86サーバから、ミッションクリティカルなアプリケーションに適したUltraSPARC IVサーバ、アプリケーションサーバなどに最適なCoolThreadsまで、広範なサーバ製品がそろったことになる」とMiller氏は説明した。
- 環境に配慮したイメージを打ち出すべく、緑の背景の前でCoolThreadsサーバを囲むサンの幹部ら
Sun Fire T1000は、高さが1ラックユニット(約4.4cm)の筐体で、最大16Gバイトのメモリと、80Gバイトの内蔵ディスクが最大1台搭載可能だ。Sun Fire T2000は、高さ2ラックユニットで、最大32Gバイトのメモリおよび73Gバイトの内蔵ディスクを4台搭載できる。
CoolThreadsサーバは、その名称からも想像できる通り「従来のサーバと比べると5分の1の低消費電力で、エネルギー効率が非常に高いサーバだ」と、米Sun Microsystemsデータセンター戦略担当バイスプレジデントのSteve Campbell氏は語る。同氏は、「毎週300万人の人が新たにインターネットに参加し、2015年にはネットワーク上に存在するアプリケーションやデバイスのユーザーが1兆人に達するとの予測もある中で、エネルギー需要の拡大や地球の温暖化が進むことが懸念されるため、ITベンダーは製品に対する新たなアプローチが必要だ」として、CoolThreadsが地球環境に配慮したサーバであることをアピールした。
CoolThreadsは低消費電力なだけではない。Campbell氏によると、競合の同等製品と比べた場合「性能が5倍、設置面積は4分の1、価格も相場以下だ」という。その価格は、T1000が46万1000円(税別)から、T2000が109万5000円からとなっている。
Campbell氏は、Xeonプロセッサを2000個集めた処理がT1では406個で完了するとしている。つまり、例えば2プロセッサXeonシステムを1000システム運用した場合と、Sun Fire T1000を406システム運用した場合では、「Xeonシステムの場合、3年間の電力運用コストだけで263万ドルだが、T1000では33万ドルで済む。サーバ数も60%削減できる」とし、CoolThreadsサーバの優位性を語った。
Campbell氏によると、サンは2006年3月をめどにUltraSPARC T1のコードをオープンソース化する予定だ。これにより、「T1上でLinuxやFreeBSDなどが利用可能となるほか、次世代のサービスやアーキテクチャに適したアプリケーションの登場が期待できる」と同氏は述べた。