日立、クラウド環境の導入・構築サービス提供へ--CPUやメモリの専有も可能に

田中好伸(編集部)

2009-06-30 20:43

 日立製作所は6月30日、クラウド環境を実現するソリューションを「Harmonious Cloud」として体系化、7月31日から順次提供を開始することを発表した。

 Harmonious Cloudは、(1)ビジネスPaaSソリューション(2)ビジネスSaaSソリューション(3)プライベートクラウドソリューション――の3つで構成され、クラウド環境の導入・コンサルから設計、構築、運用まで総合的に提供される。同社は、Harmonious Cloudを推進する中核組織として6月16日にクラウド事業推進センタを設置している。クラウド関連事業で同社グループ全体で2012年3月末までに1000億円の売り上げを目標にしている。

 (1)のビジネスPaaSは、同社の統合サービスプラットフォームである「BladeSymphony」やストレージの「日立ディスクサブアレイシステム」といった製品を中心に構成されるプラットフォームのリソースをネット経由で利用するサービス。日立ディスクサブアレイシステムは、独立した物理ディスクと同等のセキュリティを保持できる論理ユニットをユーザーごとに割り当てることで、論理ユニットへのアクセスをユーザーの仮想サーバだけに限定できるようになっている。

 ビジネスPaaSではまた、BladeSymphonyに搭載された同社独自開発のサーバ仮想化機構「Virtage」を活用することで、ユーザーが物理CPUや物理メモリなどのリソースを独占的に利用できる「リソースキャパシティ保証サービス」を提供する。これにより、クラウド環境であっても、バッチ処理の終了予定時刻を確実に見積もることやシミュレーションなどでメモリ不足による異常終了を回避することなどが可能になるとしている。

 ビジネスPaaSとしては、リソースキャパシティ保証サービスのほかに、仮想化されたリソースを提供する「プラットフォームリソース提供サービス」、システムディスクやディスクボリュームのバックアップ/リストア、サーバのクラスタリングなど可用性を強化する「可用性強化サービス」、導入時のネットワーク設計やアプリケーションの検証、既存サーバ環境からクラウド環境への移行支援などを含む「クラウド導入支援サービス」が7月31日から提供される。

 10月30日からは、給与計算などの業務アプリケーションの開発に必要なミドルウェアを目的に応じて組み合わせて提供する「ソフトウェアスタック提供サービス」、PaaSの構築・運用のノウハウを提供する「PaaS構築・運用支援サービス」、SaaS事業者向けにSaaS事業を行ううえで必要な機能を提供するサービスなどが提供される予定だ。

 (2)のビジネスSaaSとしては、同社はすでに企業間ビジネスメディアサービス「TWX-21」を提供しており、これまでに約400業種で約4万社の企業に利用されているという。TWX-21は、複数の企業間の活動で利用できるもので、業務別・役割別・ユーザー別に応じたアプリケーションとして設計・製造管理・保守業務に対応した「図面/仕様書管理サービス」や個別受注管理業務に対応した「見積・受注・納入・売上支援管理サービス」などが提供されている。7月27日からは、欧州連合の化学物質規制法である「REACH」に対応した「環境情報交換サービス」を提供開始としている。

 (3)のプライベートクラウドは、ユーザー企業の社内、企業グループ内で利用するクラウド環境を構築するシステム構築サービスになる。Harmonious Cloudセンタでのクラウド環境構築、運用のノウハウやツールを提供することで、ユーザー企業自身でのクラウド環境構築を支援する。プライベートクラウドソリューションは10月30日から提供される予定だ。

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