米国サンフランシスコで開催中のイベント「Dreamforce '06」にて、Salesforce.comの会長兼CEO、Marc Benioff氏が海外プレスの前に登場、Q&Aセッションを行った。当初予定されていなかったこのプレス向けセッションには、同社の方向性や新しく登場したオンデマンドプログラミング言語およびプラットフォームの「Apex」についてコメントを得ようと、多くの報道陣が集まった。
ヨーロッパやアジア各国から集まったプレスの中でも、Benioff氏は特に日本人プレスを意識し、日本市場に向けたコメントも多く得ることができた。ここでは、Q&Aセッションの様子をレポートする。
--Salesforce.comのビジネスはどの方向に向かっているのでしょうか。
リラックスした雰囲気で記者の質問に答えるBenioff氏
わが社がフォーカスする分野は2つあります。CRMとプラットフォームビジネスです。CRMは、やはりSalesforceの最も得意とする分野ですからね。最新バージョンの「Winter '07」でも、強化した機能の多くはCRM関連機能です。やはりCRMの機能強化はユーザーが最も望んでいることです。
一方のプラットフォーム事業は、CRMの機能をよりよくする役目を果たすほか、CRM以外のアプリケーションを提供することも可能となります。アプリケーションディレクトリの「AppExchange」と、今回発表したオンデマンド開発言語およびプラットフォームの「Apex」は、それぞれの存在意義を高めることになります。
--AppExchangeでCRM以外のサービスにも注目が集まりつつありますが、今後SalesforceとしてCRM以外に注力する分野を教えてください。
AppExchangeを開始してわかったことなのですが、プロジェクトマネジメントとリクルーティングのサービスが非常に人気だということに気づきました。営業部門でのユーザー数以上に人事部門でのユーザー数が多いという企業もあるほどです。この分野は今後も注力する予定で、すでにAppExchange上でさまざまなテストを行っています。
また、日本ではファシリティマネジメントのAppExchangeの人気が高いのも特徴です。これは米国では見られないことでした。各国特有のニーズに応えられるのもAppExchangeのいいところです。
--IdeaExchangeで今後のロードマップを公開することに対する不安はありませんか。
ユーザーは次のバージョンにどのような機能がつくのか、強化されるポイントはどこか、知りたいと思うものです。われわれはMicrosoftのWindows Vistaのように時間をかけ、ユーザーを長く待たせることもありませんし、やると言ってやらなかったことはありません。IdeaExchangeのような方式を採っている企業はないかもしれませんが、ソフトウェアモデルの本質が変化しつつあることは事実です。
--Microsoftなどの競合をどう見ていますか。多くの企業がソフトウェアをオンデマンドで提供する方向に動いていますが。
Microsoftも「CRM Dynamics」を発表しましたね。ただ、あれは単なるソフトウェアです。利用するには、Microsoftのサーバ製品やそれをインストールするハードウェアなど、さまざまなインフラが必要となります。オンデマンドのサービスも提供しているそうですが、私はそのURLさえ知りません。
MicrosoftもSalesforceの提供するようなマルチテナント方式のサービスを予定しているそうですね。コードネームは「Titanic」でしたっけ?(※注:実際のコードネームは「Titan」) Microsoftは、このオンデマンドサービスにしろ、デジタル音楽プレーヤーの「Zune」にしろ、いろんな面で遅れを取っているようです。
顧客も、ソフトウェアの新バージョンが出るたびにインストールし直すといった作業にうんざりしているはずです。Salesforceのアップグレードはインストールを必要としませんから、すべてのユーザーがすぐにアップグレードの恩恵を受けることができます。また、例えば日本など英語圏以外の国ではバージョンアップが遅れることも多いはずです。オンデマンドの世界ではそのようなことはありません。
--では、オンデマンド業界での競合はどうでしょう。
Salesforceがオンデマンド業界のリーダーであることは確実です。特に日本では、オンデマンドのサービスで完全日本語対応となっているのはSalesforceのみです。KDDIの携帯電話にも対応していますし、ここまで日本にフォーカスしているのは、オンデマンド企業ではSalesforceだけでしょう。
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