「MSはわが社に遅れを取っていることを認めている」--強気なセールスフォースのCEO

藤本京子(編集部) 2006年07月07日 20時38分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 セールスフォース・ドットコムは7月7日、都内にて「Success On Demand Tour 2006 Summer」を開催した。1500名の申し込みがあったというこのイベントでは、セールスフォースおよびパートナー企業が提供するソリューションを紹介する展示会場や、数々のセミナーが開催された。

 今回のイベントには、米Salesforce.comの会長 兼 最高経営責任者(CEO)、Marc Benioff氏が来日、基調講演を行った。その後同氏はプレス向けのセッションにて、記者からの質問に答えた。ここではその様子をレポートする。

--ASP(Application Service Provider)、SaaS(Software as a Service)、オンデマンドなど、(Salesforce.comの提供するサービスは)さまざまな名称で呼ばれているが、こうした言葉の意味を明確に分けて考えているのか。

Marc Benioff氏 記者からの質問に答えるSalesforce.comのMarc Benioff氏

 ASPもSaaSもオンデマンドも、言葉は違ってもすべて同様のものだ。ASPかオンデマンドかという区分けは重要ではない。Yahoo!も、Yahoo! MailなどのサービスをASPで提供しており、GoogleもGMailや表計算ソフト、ワープロなどのソフトウェア機能をサービスとして提供している。つまり、ASPやSaaSなどの言葉の違いなど重要ではない。顧客を混乱させるだけだ。大切なのは、インターネットの重要性が増してきたということで、ソフトウェアをCD-ROMで販売するという古いモデルから、新しいインターネットのモデルに転換しつつあるということだ。従来のソフトウェア産業は終結しつつある。CD-ROMからSaaSモデルに変わらなくては生き残れない。

--Salesforce.comのデータセンターは現在米国のみとなっているが、海外にデータセンターを置く予定はあるのか。

 米国のデータセンターは、東海岸と西海岸の2カ所に設置しており、ミラー形式にすることで障害対策をとっている。海外でのデータセンターの設置も検討中だが、時期は決まっていない。日本でのビジネスの成功の度合いによっては、日本のデータセンターの設置も考えるつもりだ。

--エンタープライズソフトウェア業界ではM&Aが活発だが、Salesforce.comは今後も単独でビジネスを進めるのか。買収を持ちかけたり、逆に買収されたりといったように、他社と一緒になる可能性はあるのか。

 新しい企業や技術の買収は常に考えている。4月には、ワイヤレス技術開発企業のSendiaを買収したばかりだ。この買収により、モバイル版のAppExchangeが可能となる。

--SAPやNetSuiteなどもSaaS市場に参入しているが、こうした企業との差別化ポイントとなるのはどこか。

 まずは製品を強化することで差別化を図る。日本でのビジネスにおいても、日本語のサポートはもちろんのこと、日本のユーザーがテストすることで品質を保っている。われわれは日本市場にコミットしており、ユーザーの中にはみずほ情報総研やゴルフダイジェスト・オンラインなど、純粋な日本企業も多い。こうしたユーザー企業のビジネスの成功を支援すべく、Salesforce.comはこれからも技術革新を続ける。

 具体的には、営業やマーケティング関連の機能を強化するなど、Salesforce.comの柱であるCRM関連のサービスを拡充する。また、プラットフォームとしての商品価値も高めたい。ユーザーがプラットフォーム上でアプリケーションを開発するための環境を整えることで、Salesforce.comはより使いやすいものになる。それがAppExchangeだ。

 われわれは、Googleのような表計算ソフトを提供することはできないし、SkypeのようなすばらしいIP電話サービスを開発することもできない。しかし、プラットフォームを提供することで、こうした専門分野に強い企業と組み、統合されたサービスが実現できるのだ。わが社だけですべてができるとは思っていない。AppExchangeは、他社の技術やソフトウェアとの協力によって成り立っている。AppExchangeは完全にオープンなもので、提供できるサービスの内容に限界はない。

 2005年にMicrosoft最高技術責任者のRay Ozzie氏が、同社の社員に送ったメールの内容を見ても、彼自身MicrosoftがSalesforce.comに遅れを取っていることを認めている。なぜMicrosoftが遅れを取ってしまったのか。それは、インターネットを使った新しいモデルで顧客の成功を支援する方法を考えなかったためだ。

 Microsoftはこれからその遅れを取り戻す必要があるが、そのためには古い体制を壊してでも新しいことに取り組むべきだ。Bill Gates氏の引退も、Microsoftがソフトウェア企業からサービス企業へと転換しなくてはならないことを意味する。Microsoftは昔、GoogleやSalesforce.comが成功するはずがないと見ていた。それが今や、こうした企業に遅れを取っているのだ。この動きは大変興味深い。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連キーワード
クラウドコンピューティング

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
「企業セキュリティの歩き方」
「サイバーセキュリティ未来考」
「ネットワークセキュリティの要諦」
「セキュリティの論点」
スペシャル
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
より賢く活用するためのOSS最新動向
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
米株式動向
日本株展望
企業決算