マイクロソフトは7月13日、2007年度に向けた経営方針記者説明会を開催した。同社 代表執行役社長のDarren Huston氏は「マイクロソフトにとって日本でのビジネスは全世界の10%を占め、米国以外で最大の市場だ」と述べ、2006年2月に日本法人設立20周年を迎えた同社のビジネスが順調であることをアピールした。
マイクロソフトでは、Huston氏が社長に就任した2005年7月に、日本における経営方針として「Plan-J」を発表した。これは、「日本における投資の拡大」、「技術革新の促進」、「政府機関や産業界とのより深いパートナーシップ」が柱となっているが、Huston氏は「Plan-Jは順調に進展している」とした。その一例として同氏は、富士通やNEC、東芝などの日本企業とクロスライセンス契約を結び、協業を拡大していることや、ウィルコムからリリースしたシャープ製のWindowsベースPHS端末「W-ZERO3」が好調なことなどを挙げた。
中でも、シャープとの関係については「グローバルな提携も視野に入れている」とHuston氏。また、12日にWindowsベースの携帯端末を発表したばかりのNTTドコモについても、「ドコモとはエンタープライズ分野のニーズにも一緒に応えていきたい」とした。
Huston氏はさらに、「この1年で、日本は顧客満足度が他国よりずっと向上した。日本の社員ががんばってくれたのはもちろんだが、Plan-Jを基盤としてパートナーや顧客とより密接にビジネスを進めたことも大きな理由だ」と述べた。
Huston氏は、今後のロードマップについても発表した。マイクロソフトでは、現在国内に10カ所の拠点を構えているが、今年度中に新しく高崎支店、高松支店、金沢支店をオープンする予定だ。また、新卒者を含めて400名以上の採用を予定している。
製品については、日本でもビジネスアプリケーション「Microsoft Dynamics」を9月に提供開始する。9月にはまずCRMを発表し、ERPシステムも「2007年6月までに発表すべく準備中だ」としている。
またHuston氏は、ビジネスセキュリティ製品の新ブランドとなる「Microsoft Forefront」についても触れた。Microsoftは、2005年7月に買収したFrontBridge Technologiesをはじめ、ここ数年で積極的にセキュリティ関連企業の買収を進めているが、こうした製品を再構築し、ひとつのブランドにまとめたものがForefrontとなる。Forefrontは、クライアント製品やサーバ製品として提供されるほか、サービス形式でも提供予定だ。
一方、「Windows Vista」については、2007年1月に発売予定だとされているが、Microsoft会長のBill Gates氏は、南アフリカで現地時間の11日に行った講演にて「Vistaが1月に間に合う可能性は80%」と発言している。これについてHuston氏は、「1月を予定しているものの、現在のベータテストで何が起こるかわからない。予測することは難しく、Gatesでさえ具体的な出荷時期については80%としか言えないのだ。ソフトウェア産業とはそういうものだ」と述べた。
また、米国ではApple Computerのデジタルオーディオプレーヤー「iPod」の競合となる製品がMicrosoftブランドでリリースされるのではないかという噂もあり、記者からは「日本でそのような製品が出ることはあるのか」という質問が出たが、Huston氏は「日本ではWindowsベースの東芝『gigabeat』など、すばらしい製品が出ており、すでにAppleのiPodだけがデジタルオーディオープレーヤーではないということが証明されている。Microsoftブランドでこうしたプレーヤーを発表するかどうかについては、正式にアナウンスすることは何もない」とした。