マイクロソフトは3月17日、同社の日本市場に向けた3カ年計画「Plan-J」に基づいた、エンタープライズ事業の戦略説明会を開催した。同社 執行役常務 エンタープライズビジネス担当の平井康文氏は、「2006年7月に始まる新会計年度では、顧客のシナリオをより考えた上でソリューションを提供する」と述べた。
平井氏の言う「顧客のシナリオ」の中でも、2006年特に注目されているのがコンプライアンスやコーポレートガバナンスなどの内部統制構築だ。マイクロソフトは同日、ITを活用した内部統制構築の支援を本格化すると発表しており、業務プロセスの文書化や文書管理、リスク評価、セキュリティ対策、アクセス管理などのソリューションを包括的に提供するとしている。
「内部統制はポジティブにとらえるべき」と、マイクロソフトの平井氏
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これまでにも同社は、Visioで書く内部統制対応文書作成ガイドを2月24日に提供開始したほか、3月9日にはBMCソフトウェアと共同でIT統制支援ソリューションの提供を発表するなど、同分野での取り組みを進めてきた。今後こうしたソリューションをより本格的に展開していくが、同社は今回の発表と同時に、プロティビティジャパンとの共同開発によるVisio 2003内部統制テンプレートを無償配布開始することも発表している。
平井氏は、「コンプライアンスやガバナンスにおいて、文書管理をはじめとするさまざまな対応策が必要となり、企業の悩みもつきないが、こうした統制の仕組みと企業の生産性やビジネス革新は両立できるものだ。むしろ内部統制がしっかりしているからこそ、統合されたビジネスプロセスや社内ガイドラインの下で業務が効率化され、その結果ビジネス革新が実現できる」と話す。
CRM製品が年内にも
Plan-Jには、「日本への投資を拡大する」という計画も含まれている。具体的な投資金額は明らかにされていないものの、「人員の投資という面では、2005年7月以来60名の増員となった。2006年7月からの次年度は、それ以上の増員となるだろう」と平井氏は言う。
またマイクロソフトでは、企業ユーザーの運用環境を再現し、検証やサポートを行うための施設、フィールドテクノロジーラボの設立をこの1年で実現している。このラボは、2005年11月にMicrosoft SQL Server 2005を発表して以来本格的に稼働しているが、平井氏は「2006年はVistaやOfficeなどクライアント向けの製品が登場する。こうした製品も含めて、顧客のシナリオに合わせた検証を実施していく」と述べる。
同社はさらに、明確な時期は明らかにしていないものの、Microsoft CRMを「今年中にリリースする」(平井氏)としている。また、NavisionやGreat Plainsなどの買収によって入手したERP関連製品の日本語化も進めている。
ただし、SAPとの協業により、マイクロソフトのOffice製品とSAP製品の連携ソリューション「Mendocino」の開発も進めており、ERP関連製品についてはパートナーとの協業を中心とし、重複しない範囲でマイクロソフトが提供できる部分を模索していく計画だ。