マイクロソフトは11月6日、中小企業に向けたIT支援の新施策「全国IT推進計画 2007」を発表した。来日したMicrosoftの最高経営責任者(CEO)Steve Ballmer氏は、「中小企業はコンピュータ化が進んでおらず、業務の自動化がほとんど実現できていない。こうした企業もITの恩恵を受け、生産性が向上できるよう、デジタルデバイドを解消しなくては」と述べた。
マイクロソフトでは、中小企業におけるデジタルデバイドの解消と、ITの活用で市場を活性化させるため、2001年10月に「全国IT推進計画」を、2003年11月に「全国IT推進計画II」を発表し、5年に渡る活動を展開してきた。新計画の2007では、これまでの経験に基づいて内容をさらに拡充する。
具体的な施策として同社は、
- マイクロソフトの国内支店を新たに4支店開設
- IT利活用の推進施策「マイクロソフト全国IT実践キャラバン 2007」の実施
- IT導入後のサポートサービス「マイクロソフトスマートビジネス プラス」の提供
- 中小企業のIT化を推進する公的団体に対する「育てる、進める 中小企業のIT経営 協業パッケージ」の提供
の4点を挙げている。
まず新支店は、2007年2月19日に群馬県高崎市にオープンする北関東支店を皮切りに、北陸支店(2007年6月4日)、四国支店(2007年6月25日)、沖縄支店(2007年12月)を開設する。これで同社の国内支店は合計11拠点となる。
全国IT実践キャラバン 2007では、2002年10月から2003年12月まで実施した「マイクロソフトIT体験キャラバン」のノウハウを生かし、IT活用の啓発から実践までを推進する。キャラバンバスの「マイクロソフト号」がドーム型テントと共に日本全国の市町村を訪問し、中小企業向けIT利活用セミナー「IT実践塾」を実施するほか、「Windows Vista」「Microsoft Office」などが体験できるコーナーを設ける。第1回キャラバンは12月15日、茨城県つくば市への訪問を予定しており、2007年12月末までに47都道府県200カ所をまわる。マイクロソフトでは、3万人の参加者を見込んでいる。
マイクロソフトスマートビジネス プラスは、現在すでに提供しているIT導入や利活用に役立つコンテンツ「スマートビジネスセンター」の一部として提供するもので、IT導入後のさらなる有効活用を支援する会員限定のサポートサービスだ。オンラインサポートやオンライントレーニング、IT導入・活用相談窓口、会員特典情報などを無償で提供する。11月6日より事前登録を開始し、2007年1月に正式公開を予定している。初年度に1万5000人、3年後には25万人の会員登録を目標としている。
育てる、進める 中小企業のIT経営 協業パッケージは、中小企業のIT化を推進する公的団体に提供するもので、4つの施策をパッケージ化した。具体的には、ビジネス情報サイト「経革広場」の地域版となる「地域版 経革広場」を拡充し、地域ビジネスポータルを開設するほか、IT利活用セミナー「IT実践塾」を開催する団体に対し、セミナーコンテンツや講師の派遣を行う。また、公的団体が中小企業のIT相談を受けるにあたってスタッフ不足やスキル不足が課題となる場合、「中小企業IT化支援センター」を通じて支援する。さらに、2003年より岐阜県、北海道、千葉県、神奈川県、埼玉県の5自治体と連携して29社のITベンチャー支援を行ってきた「マイクロソフトインキュベーションプログラム」を強化し、「ITベンチャー支援プログラム」を展開する。今後1年間で、全国の都道府県および政令指定都市から選出した5地域で、最優秀企業10社および優秀企業30社を選定、技術やマーケティング面を支援する。
バスによるキャラバンなど、デジタル化を推進する活動としてはアナログな手法だが、Ballmer氏は「中小企業はまだデジタル化が進んでいないのでアナログなアプローチが必要だ」と説明する。また、マイクロソフト 執行役専務 ゼネラルビジネス担当の眞柄泰利氏も、「実際に現地に行かなくては、その場の状況が把握しきれないことも多い。これまでにも、現地に行けば行くほど“こういった支援が必要だ”という声が多く聞こえてきている」と述べ、支店の拡大やバスキャラバンなどの重要性を語った。