IBMは1月22日、リニア方式磁気テープで世界最高の記録密度を達成したと発表した。IBMチューリッヒ研究所の研究者が、日本の富士フイルムが開発したテープの試作品を使って、1平方インチあたり295億ビットの密度でデータを記録したという。この数値は、現在最も普及している業界標準の磁気テープ装置の約39倍のデータ密度に当たるとしている。
IBMでは、この新しい技術により、カートリッジに最大35兆バイト(35テラバイト)の非圧縮データを格納できるようになると推定している。このデータ量は、現行のIBM製第四世代LTO(Linear Tape-Open)テープカートリッジ容量の約44倍に当たり、書籍3500万冊分のテキストに相当するという。
この技術の実現にあたっては、富士フイルムがIBMの研究者と共同で開発したバリウムフェライト磁性体による高密度デュアルコート微粒子磁気テープ、高精度なヘッドポジショニングを実現するサーボ制御技術、0.2ミクロンの超幅狭データ読み取りヘッドにより低下したSN比に影響されずデータを検出できる新たな信号処理アルゴリズム、IBMアルマデン研究所のテープ研究開発チームによる低摩擦GMR(giant magnetoresistive)読み書きヘッドの開発といった、さまざまな要素技術が取り込まれている。
IBMでは、この成果が「テープ技術が今後何年にもわたり容量増大が可能であることを実証するもの」であるという。テープストレージがハードディスクストレージシステムに比べ、エネルギー効率とコスト効率の面で優れている点からも、重要な意味を持つとしている。