日立、メインフレーム「AP8800」強化--仮想化活用の大規模システムも統合可能に

田中好伸(編集部)

2010-01-13 18:30

 日立製作所は1月13日、メインフレーム「AP8800」の機能を強化、1月14日から販売することを発表した。大規模システム向けに強化するとともに、データベース(DB)も強化して、業務アプリケーションの開発効率と運用性を向上させたとしている。

 今回の機能強化は主に(1)データ入出力装置との接続数を拡大する「FIBARC拡張機構3」の提供、(2)64ビットアドレッシング機能をリレーショナルデータベース(RDB)「XDM/RD E2」のSQL解析結果への適用拡大、(3)周辺装置との接続を担う外付け装置「FIBARCディレクタ」新モデル、(4)生成列機能、(5)機密保護導入支援機能、(6)「LTO」媒体でのデータ交換機能の提供――の6点からなる。

 (1)のFIBARC拡張機構3は、光ファイバを活用した入出力アーキテクチャ「FIBARCチャネル」をAP88001台あたり256台まで接続できる。従来の最大接続数は144台。最大200Mbpsの転送能力のFIBARCチャネルを活用して、AP8800とより多くのストレージやプリンタなどのデータ入出力装置を接続できる。

 これに関連して、AP8800の仮想化環境を構築するプロセッサ資源分割管理機構支援「PRMA E3」の機能も強化。ストレージの論理ボリュームなどの仮想的なデータ入出力装置との最大接続数を、従来比2倍の1台あたり6万5536台までに拡張している。仮想化を活用した大規模システム統合ができるとしている。

 FIBARC拡張機構3の価格は月額5万2500円。PRMA E3の価格は月額50万4000円から。両製品とも4月1日から出荷する。

 (2)の64ビットアドレッシング機能は、メモリのアドレスを2の64乗バイトまで一度に管理できるメモリ管理方式であり、大容量メモリを有効に活用できるというもの。XDM/RD E2のSQL解析結果を、通常管理している実メモリ領域(アドレス2GB以内の実アドレス空間のメモリ)よりも広い実メモリ領域(アドレス2GB超)に格納できる。空きが生じた実メモリ領域を、業務アプリケーションなどに多く割り当てられるようになり、データ処理での処理性能や多重度を向上させられるという。

 (3)で、周辺装置間のFIBARC接続を統合するFIBARCディレクタの新モデルは、従来モデルの2倍となる4Gbpsを新しくサポートしている。データ転送処理が高速になっていることに加えて、筐体容積を約25%削減して、設置が容易になっているとしている。

 新モデルのFIBARCディレクタの出荷は4月1日から、価格は月額262万5000円から、となっている。XDM/RD E2の価格は月額37万8000円から、出荷は2月5日から。

 (4)は、DB内のデータを格納する表で、ある列の値を同一表のあるほかの列の値から自動的に生成する機能を指す。値を生成する処理の作りこみを省略でき、業務アプリケーションの開発効率を向上させられるとしている。

 (5)の機密保護導入支援機能は、業務ごとにアクセス権限を設定する機密保護機能を、通常の業務を継続しながら既存システム環境へ導入できる支援機能を提供するというもの。たとえば、権限設定に誤りがあった場合に、権限エラーをコンソールに表示、修正できるなど、確実に既存環境のセキュリティを強化できると説明している。

 (6)は、オープン系テープ装置へのアクセスを制御するソフト「DMFOPDS」で、磁気テープでのデータ交換と同等な記録形式をサポートして、今後のデータ交換媒体として推奨されるLTO(Linear Tape-Open)媒体に対応している。DMFOPDSの出荷は4月1日から、価格は月額15万7500円から、となっている。

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