NECは1月20日、米国国土安全省の委託を受けて国立標準技術研究所(NIST)が実施した「ベンダー評価プロジェクト・静止顔画像部門」で、同社の顔認証技術が世界第1位であるとの評価を得たと発表した。
NISTのベンダー評価プロジェクトは、犯罪への対処を図り、技術の研究開発を促しながらその早期実用化を目指しており、同省や米司法省、FBI、米国防省なども参画して実施されている。
この技術の基盤となるアルゴリズムにはさまざまな要素が盛り込まれている。高速に「目」を検出し、NEC独自のアルゴリズムを組み合わせて高速処理と高精度の両方を同時に実現する「多重照合顔検出法」や、1枚の登録用顔画像から顔の向きや影の変化などによる「見た目」の変動を推測して数学モデルにより近似し、高速な処理と変動に対する高い耐性の両方を同時に実現する「摂動空間法」などだ。
これらの技術は両方とも、同社が2002年から販売している顔検出、顔照合エンジンである「NeoFace」が採用している。また、NEC中央研究所が開発した、照明や方向など、環境によりに変化する条件の下でも個人の特徴を抽出できる新技術も用いているという。
ベンダー評価プロジェクトの静止顔画像部門では、デジタルカメラで撮影した顔画像や、IC旅券に格納されることを想定したサイズに縮小、圧縮した顔画像、撮影条件が厳しい状況での顔画像での認識を対象としている。
NECは今回の評価で、他人が本人と誤認される率である「他人許容率」が0.1%の場合に、本人が本人と認識されない率「本人拒否率」が2〜4%だったという。同社では「参加ベンダーのうちトップの認証精度であり、2位以下を大きく引き離す結果を得た」としている。
他人許容率と本人拒否率は相反する関係にあり、他人による「なりすまし」を厳しく防ごうとして、「他人許容率」を小さくすると、本人も拒否される「本人拒否率」が大きくなる傾向がある。他人許容率0.1%という高い認証精度を実現する場合、本人拒否率を2〜4%に保つことは難しいとされているという。