マイクロソフトとターボリナックスは11月6日、両社の協業に関する説明会を開催した。この説明会は、Microsoft Corporationとターボリナックスが米国時間の10月22日に発表した、WindowsとLinux間の相互運用性向上と知的財産の保証を含む包括的な協業に基づくもの。Microsoftでは、すでにNovellやZend Technologiesとも同様の提携を発表している。
この協業により両社は、「相互運用性の向上」「研究開発分野における連携」「知的財産の保証」「デスクトップ分野における協調の拡大」の4項目について取り組む計画。ターボリナックスは、アジア地域において初めてMicrosoftと包括的な協業を行うLinuxベンダーとなる。
相互運用性の向上における具体的な取り組みとしては、ActiveDirectoryのもとでTurbolinux製品のシングルサインオン(SSO)環境を実現する。この機能は、11月29日より販売が開始される「Turbolinux 11 Server」の対応モジュールとして2008年度中に提供が開始される予定だ。
ターボリナックスの代表取締役社長、矢野広一氏は、「リリース時期や価格は未定だが、2007年中には基本的な仕様を確定し、アルファ版、またはベータ版を提供したい。また今後は、他社用モジュールの提供も検討していく」と話している。
また研究開発分野における連携では、ActiveDirectory対応モジュールの開発をはじめ、両社製品の連携性を高めるソフトウェアを共同で開発する。環境が整いしだい、Microsoftが中国に開設した開発センターで開発を行う予定。顧客企業やパートナー企業向けのデモ施設も設置される。
さらに知的財産の保証では、Microsoftが所有する知財の利用をアジア全地域で保証するほか、デスクトップ分野における協調の拡大では、ファイルフォーマット変換ツール開発プロジェクト「Open XML translator」の協業を、Windows MediaやWindows Live Searchなどの分野にも拡大する。
矢野氏は、「知財の保証では、顧客に対する安心感の提供が最大の目的。オープンソースだからといって知財が尊重されない社会に未来はない。特許の問題はアジア地域においても大きなテーマとなる。この分野では、日本がリーダーシップを発揮したい」と話す。
一方、マイクロソフトの業務執行役員 最高技術責任者(CTO)である加治佐俊一氏は、「相互運用性の分野は、言うほど簡単ではない。そのため、きちんとした対応が必要。我々としては、設計段階から相互運用性を考慮した取り組みを行っていきたい」と言う。
同氏はまた、「知財を保証するIPライセンスプログラムでは、我々のテクノロジをライセンス提供することで、研究開発におけるコストの低減や開発期間の短縮をサポートすることが可能。Windows製品と相互接続が可能なパートナー製品を拡大することができる」と話している。