Verticaを特徴づける3つのポイント「高速」「簡単」「柔軟」
続く事例講演は、パートナーのアシストによる「超高速データベースで実現したデータ活用の国内事例」だ。アシストでデータベース技術本部 技術開発部 課長を務める小野明洋氏が登壇し、Verticaと汎用データベースのパフォーマンス比較デモやVerticaの特徴、同社が手がけた国内事例を詳しく紹介した。
アシスト
データベース技術本部
技術開発部 課長
小野 明洋氏
まず、比較デモでは、アシストが提供するBIツール「WebFOCUS」を使って、Verticaと汎用RDBMSでは検索レスポンスがどのくらい変わるかを示して見せた。各データベースはスタースキーマで構成した約7億件(論理サイズ100GB)の注文データが格納されており、それぞれを集計してダッシュボードに表示するというものだ。その結果、汎用RDBMSがデータ検索時間に58.3秒かかったところ、Verticaは2.4秒で完了した。
「汎用RDBMSでチューニングを施したのに対し、Verticaは個別チューニングもせず、パラメータ設定もデフォルトで行った。実際に採用いただいたお客様のケースでも、100倍高速になったり、チューニングが不要のため専属DBAが不要になったりと大きな効果を上げています」(小野氏)
小野氏によると、Verticaの特徴は「高速」「簡単」「柔軟」という3つの点に集約できる。この3つの特徴はそのままユーザー企業が抱える代表的な3つの課題にも対応している。具体的には、検索や分析処理が遅いこと、チューニング作業が大変で運用コストがかさむこと、構成変更ができずスケールアウトやクラウド対応が難しいことだ。
「Verticaが提供する主な機能は、列指向、データ圧縮、自動チューニング、冗長化、WebベースのGUIなどです。エンタープライズDWH向けの機能だけでなく、Hadoop連携やKafka連携など、ビッグデータ活用の機能も充実しています。ライセンスもCPUコア単位ではなく、データ量課金で、スケールアウトしてもコストが上がりません。また、本番環境でのライセンスを購入すると、ステージングや開発環境でのライセンスは無償で提供されます。既存の基盤をVerticaに移行するだけで、大きな効果が得られます」(同氏)
国内事例が続々と増加中、全ての機能が使える試使用版も提供
実際、国内ではこれまで40社を超える企業がVerticaの導入で成果を上げているという。
そのうえで、小野氏は、国内事例を特徴的な3つのケースに分けて紹介した。
1つめは、既存の基盤を刷新して、高速化したケースだ。この企業で課題となったのは、既存DWH基盤のレスポンス悪化によるユーザーからの不満拡大だ。また、データ取り込み頻度を1日1回から1時間に1回へと向上したいという希望もあった。選定過程で、汎用データベースとVerticaを、処理性能、データロード性能、コストの点から比較した。
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処理性能とコストでは圧倒的にVerticaが優位だったが、列指向による特性から懸念していたデータロード時間が、1GBあたり数十秒と、汎用データベースとほとんど変わらなかったことを評価した。現在、現行環境と比較して20倍〜50倍の性能向上と、ライセンスコストの大幅な削減を実現できている。今後は、3台構成にし、外部データとの連携を進めていく予定だという。
2つめは、運用コストを削減するために、クラウドへ移行したケースだ。この企業では、集計表が増加する一方で、性能を担保するために夜間バッチを作成してチューニングを繰り返していた。バッチの突き抜けやバックアップ時間の増幅に悩まされ、作業負荷も限界に達していた。そこでクラウドへの移行を前提に、DWH系のPaaSと、Vertica on AWSを比較。単体での検索実行、多重での検索実行、データ圧縮率、3年利用時の費用を比較ポイントに設定した。3年利用時の費用ではPaaSがやや優位だったが、多重実行での性能劣化が小さいことや、データ圧縮率が90%近くと非常にすぐれていたため、Verticaに決定したという。
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採用後、チューニングをほとんど必要とせず高いパフォーマンスが維持できること、ユーザーによる検索の多重実行に強く、集計表の作成時間やバックアップ作業時間の大幅な削減を確認しているという。まずは、1インスタンス構成でスモールスタートしたが、今後は、データ量が2倍になることが見込まれることから、3インスタンス以上にスケールアウトする予定になっている。
3つめは、全社的な情報活用基盤を構築したケースだ。基幹データ、営業データなどを部門ごとにBIツールやExcelで分析していたが、さまざまなBIツールが混在し、スパゲティ状態になっていた。そこで、Verticaとセットで利用できるアシストのBIソリューション「WebFocus TurboV」を採用。BI/DB基盤を統合し、全社的に活用できるようにしたという。
小野氏は、「このほかにもさまざまな事例があります。Verticaは、1TB、3ノードまで機能制限なしで利用できる試使用版エディションが提供されているので、まずは自社の環境でどんな効果が見込めるかを試してみることをおすすめしています。もちろん弊社によって直接検証をフォローさせていただくことも可能です。」と述べ、講演を締めくくった。