近年、Wi-Fiのロゴ、シールを家電量販店などで目にすることが増えています。正式にはWireless Fidelityの略であり、無線LANの標準規格であるIEEE 802.11製品のうち、相互接続性を保証するための認定を受けた製品が表示することを許されています。認定はIEEE 802.11に関する業界団体のWi-Fi Allianceが行います。近年では、パソコン関連製品から、携帯型ゲーム機や携帯電話などにも搭載が進んでおり、使い勝手の改善に大きく貢献しています。
また、類似の言葉としてIT系ウェブサイトや新聞紙上で、「WiMAX」と呼ばれる無線通信技術に関する話題を目にすることが増えました。こちらは、現在、標準化活動が佳境にある、より広域対応の無線通信技術であり、米国電気電子学会(IEEE)で標準化が進められている802.16シリーズのうち、802.16-2004、802.16eなどの技術群が該当します。Wi-Fi同様、機器の互換性や標準化を推進しているWorldwide Interoperability for Microwave Access(WiMAX) Forum(http://www.wimaxforum.org/)と呼ばれる国際的な非営利団体の名称から、WiMAXを当該技術の呼称として使うことが多くなってきたわけです。
Wi-Fiの現状
無線LANが本格的に普及しはじめたのは、1995年ごろでした。それまでは最大1Mbps程度の低速で、LANカードなども大きく不格好、加えて機器単価も10万円近いなどといった理由から、工場や倉庫、イベント会場といった特殊な用途での利用が主でした。しかし、1997年に「802.11」と呼ばれる現在の無線LAN規格の原型が登場し、相互接続のためのWi-Fi認証が広く普及しました。その後、802.11b、11a、11gなどを経て、高速化と低コスト化、盗聴、不正アクセス、なりすましなどに対するセキュリティ対応の強化が急激に進展して現在に至っています。
現在も高速化に向けた取り組みは続いていますが、フレームバースト(パケット送信中に他のクライアントが接続しているかのチェックを省略することで高速化する技術)、リアルタイム圧縮(1パケット毎に圧縮を行うことで、見かけのスピードを向上させる)、アンテナ技術の改善などが中心になってきています。
WiMAXの現状
WiMAXは、本来、広域固定データ通信の無線による代替技術として検討されてきました。想定利用帯域は2〜11GHzと幅広く設定されており、米国では2.4GHz帯、5.8GHz帯での利用が多く、韓国では類似システムであるWiBroが2.3GHz帯を採用しています。日本でも総務省によって2.5GHz帯での帯域付与が計画されています。すでに都内の一部で、先行的に提供されていた3GHz帯以上のサービスとあわせて、2007年には広い地域での商用サービスの開始が予想されています。