BPMの専門家で、エンタープライズ系オンラインメディア「ebizQ」のアナリストであるDennis Byron氏は、1990年代を象徴したERPや、2000年からの10年を席巻したインターネットサービスがそうであったように、これからの10年は「ビジネスプロセス・マネジメント(BPM)」がその価値を定義される時代になるだろうと予測する。
Gartnerのエグゼクティブ・プログラム(EXP)もそれを肯定している。同社が毎年実施するCIOサーベイの、2009年度におけるビジネス面での優先度ランキングでは、「ビジネスプロセスの改善」がグローバルで第1位となり、2位の「業務コストの削減」、3位の「業務効率性の改善」を抑え、2005年から4年連続で首位をキープしている。また、ある調査によると、実に9割以上の経営者はIT部門が業務プロセス改革の担い手になることを望んでいるという。
このように、ますます重要性が増しているBPMだが、具体的にそれを実現するソリューションとはいかなるものか、大いに気になるところだ。今回は、いくつかのベンダーが提供するBPM製品(BPMS)をピックアップし、その特徴を比べてみよう。
システム側と業務側の対話をスムーズにする「M3O」
一般の業務プロセス開発プロジェクトは、システム部門がビジネス要求を整理し、それを業務部門がレビューして設計を進める。システム部門は設計イメージを機能の羅列で表現しようとするため、業務部門はその構成を詳細に把握することができず、結局プロジェクトの後半で「こんなはずではなかった」と不満が爆発してしまう。目指すところは同じはずなのに、なぜこのような行き違いが起きてしまうのか。
それを解決しようと、BPMN(Business Process Modeling Notation、ビジネスプロセス記法)を利用し、システム側、業務側双方が理解できるようなBPMツールを目指したのが、BPMの老舗ベンダー、ビトリア・テクノロジーのフロントエンドBPM「M3O(エム・スリー・オー)」である。
通常、BPMNで描いたモデルは、実行言語に近いBPEL(Business Process Execution Language)などに変換して実行させるのだが、M3Oはそのネーミングの通り、BPMNをそのまま設計(Model)、実行(Manage)、管理(Monitor)、最適化(Optimize)の環境に落とし込める世界初のエンジンを搭載する。
部門を跨ぐ大きなシステムの下に存在する、担当者ごとにシステム化したり手作業で業務を回していたりする複雑な業務の流れを、ブラウザ上のモデリング環境でシンプルに表現できることが大きな特長となっている。
M3Oの画面は、一見すると単純に手順が並べられて、それぞれがつながっているだけに見えるが、システムに詳しくない業務側の担当者でも、「手順」という表現のおかげで考えを正しく伝えやすい。また、システム側の担当者も業務側が実現したい手順に沿ってタスクを埋め込むことで、ギャップや曖昧さを埋めることができる。お互いに同じ画面を見ながら会話ができるので、設計の効率を高めることが可能になる。