企業の礎である「人」を扱うITシステムはどうあるべきか?--まず人事という職務を理解する

梅田正隆(ロビンソン)

2009-11-05 18:28

 前回(「研修」は期待大でも効果小、その原因は?--調査で明らかになった人材育成の課題)は、企業が持つ人的資源の価値を高めるための「人材育成」に関する現状について見てみた。今回からは、人事の業務を支援するIT、すなわち「人事システム」に焦点を当てて見ていくことにしよう。

まず人事という特殊な職務を理解しよう

 人事システムについて考える前に、まずは人事部門の職務について整理しておこう。企業は、様々な職務によって運営されている。それぞれの「職務が果たす役割」を表す言葉として「職能」がある。ここで、企業に存在する主な職能を挙げてみる。

企業における主な職能のイメージ 企業における主な職能のイメージ

 図に示すように、人事は生産や販売、会計といった企業における主な職能のうちの1つに位置づけられ、いわゆる「基幹業務」に含まれる。人事は経営資源の中の「ヒト」に関するあらゆる職務を担っている点が、他の職能とは異なっている。

 大阪市立大学大学院教授の下崎千代子氏は、それぞれの職能は業務(Operation)と管理(Management)に分けることができ、管理はさらに、業務統制(Operational Control)、管理統制(Management Control)、戦略計画(Strategy Planning)の3つで構成されるとしている。

 ただし、人事においては、人事業務そのものと管理的業務が明確に分離されず、「業務遂行と同時に、業務統制や管理統制が不可分に遂行されている」と指摘している。このあたりは、人事職能の特徴と言えるのだろう。

職能における業務と管理の構成イメージ 職能における業務と管理の構成イメージ(画像クリックで拡大表示)

 上位の戦略計画レイヤにおいては、将来の人員構成および支払賃金の予測や、長期経営戦略に則した人材の採用あるいは育成の計画などが行われる。また、賃金体系を左右する人事方針もここで決定されるのである。

人事管理のプロセスはどうサイクルする?

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

関連記事

関連キーワード
経営

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]