昇給は年4回、給料はみんなで決める--「あったらいいな」を実現する企業:ライブレボリューション

遠竹智寿子

2009-09-01 08:00

 第13回目の「あったらいいな」は、ライブレボリューションの独自の給与制度「Six Members Valuation(シックス・メンバーズ・バリュエーション)」についてです。2000年創業の同社は、モバイル広告代理店事業を中心に、就職活動向けソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「リクトモ」などを展開し、急成長しているベンチャー企業です。2年連続で「就職活動生が選ぶ魅力的な企業No.1」(ジョブウェブ調べ)に選ばれ、学生からの認知度も高いのだとか。現在同社の社員数は50人程度ですが、2009年度の採用枠8人に対し、会社説明会および就活セミナーへの応募者数は1万4000人だったそうです。給与制度を始めとするユニークな経営モデルが、その人気の秘密なのでしょうか。

採用の失敗から経営の改革へ

新卒でも大きな夢が見られる度 ★★★★☆
これで禁煙できる度 ★★★★☆
部下でも上司の評価ができる度 ★★★★★
「やる気」が持続する度 ★★★★☆
がんばりがすぐに賞与につながる度 ★★★★★
ライブレボリューションの「あったらいいな」度

 ライブレボリューション 代表取締役社長 増永寛之氏にお話を伺いました。

 増永社長は、同社を設立する以前は大手証券会社に勤務していたとのこと。当時、渋谷のネット起業家集団として話題となった「ビットバレー」に刺激を受け、入社わずか1年強で証券会社を退社、2000年8月にライブレボリューションを設立しました。常勤取締役4名全員が証券会社出身者という同社では、その経験から多角的な組織運営や仕組み作りに取り組んできたと言います。

 コンサルティング業務からスタートし、広告代理店事業へと裾野を拡げ、同社のビジネスが着々と上向きに進む中で、増永社長は大きな問題に直面します。

 「2004年9月に、会社の成長に合わせて多くの人材が必要となり、当社としては大量の採用を行ったんです。それまでは15名程度でやっていたのが、外からそれ以上の人が入ってきて、社員数は50人程度になりました」と、増永社長は説明します。

 この時、人材は確保できたものの、採用判断で大失敗をしてしまったと言うのです。

増永氏ライブレボリューション 代表取締役社長 増永寛之氏

 「社員の多くが不平不満だらけ。私自身も『こんな会社なら経営したくない』と思う程、社内の雰囲気は悪くなっていました。理由を考えてみると、採用に関して慎重に選んでいたつもりでしたが、『仕事ができそうだ』とか『技術力がありそうだ』といった表面的なところでしか判断していなかった。しかし、同じ会社で働く人間として、『同じ価値観を持っているか』がとても重要で、この方向性が異なると会社のビジネスそのものがうまく回らなくなる。そこに気が付いたので、価値観の合う人が集まり、気持の良い楽しい会社にもう一度立て直そうと取り組むことにしたんです」(増永社長)

 この時、経営スタイルの見直しを進める中、特に社員から不満の声が高かった「給与制度」にも大きなメスを入れることにしました。

 「それまでは営業担当にのみ、粗利の何%を給与に反映するといった成果報酬を採用していました。ところが、それではプログラマーやデザイナー、経理担当者などは仕事が増えても何も変わらない。社員全員が報われる給与体系にしたいと考えました」と増永社長。この時、増永社長によって考案されたSix Members Valuationが、社員の給与内容を決める評価システムとなっています。「成果報酬型」に代わって取り入れられたのは「価値観連動型」の給与制度でした。

「主観」の集合が「客観」になる

 Six Members Valuationは、同社が開発したウェブベースの給与評価システムであり、これを用いた「360度評価」の仕組みでもあります。特徴的なのは、給与の決定権が会社ではなく、働くメンバーたちにあるということです。

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