4月22日、東京・有楽町の東京国際フォーラムにおいて、日本オラクルとOracle Corporationの共催によるイベント「Oracle OpenWorld Tokyo 2009」が開幕した。会期は24日までの3日間。
米国時間4月20日に発表された、OracleによるSun Microsystemsの買収というビッグニュース直後というタイミングもあってか注目度は高い。開幕初日となる22日の午前中には、基調講演が行われるホール棟の入り口に長蛇の列ができ、開始時間が若干ずれ込むというハプニングもあった。
22日、「企業ITの最適投資 − エンタープライズ・アプリケーションの現在と未来」と題して基調講演を行ったのは、Oracle Corporation、インダストリー・ビジネスユニット担当シニア・バイスプレジデントのSonny Singh氏だ。
業種別市場戦略の推進を担当するSingh氏は、まず「Complete+Open+Integrated」という同社の戦略の核となる3つのポイントについて改めて説明した。
「Complete」は、あらゆる業界と業種に対応する「完全性」を指す。Singh氏は、通信業界向けソリューションを例に挙げ、2004年の段階でミドルウェアとデータベース、およびERPアプリケーションの分野までしかカバーしていなかったOracle製品が、現在では、通信業界に特化したビジネスオペレーション、分析業務、サービスデリバリ、商品デザインを含む、ほぼ完全なポートフォリオになっている点を強調。「通信業界に限らず、全世界の多くのトップ企業が、Oracleのソリューションを利用している」とアピールした。
2番目の「Open」は、標準的なテクノロジーをベースとしたオープン性を意味するもの。JavaやBPELといった標準に準拠したアーキテクチャを採用すると同時に、標準化作業そのものに対する貢献を重視しているという。Singh氏は、「Oracleは閉鎖的なテクノロジによる独占を目指してはいない」と述べ、顧客のリスクの低減と選択肢の増加を目的としたオープンへの取り組みを続けているとした。こうした取り組みの成果が最も強く表れているのが、データベースとアプリケーションの中間のレイヤに位置し、SOAをベースとして全社共通のITサービスを統合する「Oracle Fusion Middleware」の製品群であるとした。
3番目の「Integrated」(統合)は、「アプリケーション統合」を意味する。Oracleのアプリケーションと、他社のアプリケーションの混在環境を、Application Integration Architecture(AIA)に基づき、標準実装されたビジネスプロセスをベースに統合する。あらゆるバックエンドからのデータを統合し、利用形態に応じたフロントエンドに出力できる環境を整えることによって、高度なコラボレーション環境と高い柔軟性、システムコストの削減を実現するという。
「Oracleでは、これまでに400億ドル以上をかけた買収合併と、100億ドル以上を投じた研究開発によってポートフォリオを拡大し、その実現に取り組んでいる」(Singh氏)