Microsoftでは、運用管理ソフトウェアとして「Microsoft System Center」製品群を、セキュリティ管理ソフトウェアとして「Microsoft Forefront」製品群をそれぞれ提供している。市場には既に他社製の同種製品が多数存在する中で、Microsoft自らこれらの製品を提供する意味とは何だろうか。
Windows Serverのために
Microsoftでは、全社レベルの大きな戦略として「Dynamic ITの実現」を掲げている。企業を取り巻く環境の変化は速く、法規制などによってこれまで存在しなかった新たな要件が大問題として急浮上することもある。
こうした状況の変化に対しては、ITシステムが柔軟に対応し、むしろ変化をリードするような形で業務をサポートすることが理想だ。
しかし、現実の企業におけるITの姿は、既存システムの運用管理で予算の7割程度を消費してしまい、新しいアプリケーションやシステムなど、前向きな用途のために確保できるのは3割程度だと言われている。これを、「まずはせめて50:50にしたい」というのがMicrosoftの基本的な考えだという。
このために必要となるのが、運用管理を合理化し、効率よく低コストで確実な運用管理を実現することだ。合わせて、現在の運用管理担当者を悩ます厄介事の筆頭とも言えるセキュリティの問題にも適切に対処する必要がある。
これこそ、Microsoftがこの分野で製品提供を行なう根本的な理由だと言える。
MicrosoftはOSからアプリケーションまで広範な製品を揃えているが、今でも中核に据えられているのはOSであり、企業向けでいえばWindows Serverがもっとも重要な製品に位置づけられている。
Microsoftが目指すのは、企業内ITシステムのインフラとしてWindows Serverが活用されることであり、そのためにも同社は「Windows Serverをより効果的に使ってもらうために必要となる製品群」の整備に取り組む必要があるというわけだ。
運用管理とセキュリティの連携
現状においては、運用管理とセキュリティは別個の分野と考えられている傾向が強く、製品を提供するソフトウェアベンダーの顔ぶれも相互にあまり重なりがないような状況だ。しかしMicrosoftは、当然のことながらWindows Serverについて熟知しており、運用管理に関してもセキュリティに関しても、きめ細かな対応が可能な立場にある。
また、社内システムとして実運用する大規模ユーザーという立場でもあるため、運用管理のための実際的なノウハウを蓄積し、それを製品開発に反映できるというメリットもある。