ビジネスインテリジェンスやナレッジマネジメントとESP
ESPによる構造化データと非構造化データの融合について、栗原氏は「顕著な動きとしては、BI系の機能とエンタープライズサーチの機能の合体がある。要するにBIが持っているメタデータを、サーチできちんと見てやるということだ。BIのレポートやグラフ、テーブルが一度に取り出すことができるのは大きい。本来、構造化データか非構造化データかはシステム側の話であって、ユーザーにとって関係ないことだ。そういう意味では、ESPによってユーザーが必要なデータをすべて取り出せるようになるのは、システムがユーザーに一歩近づいたと見ることもできる」と解説する。
ナレッジマネジメントに精通する吉川氏は「情報共有や知識強化の取り組みは昔から実施されてきた。ナレッジマネジメントで最初に行われるのがデータの蓄積だ。ただ、データを溜めることに注力し過ぎ、溜めすぎてしまったために欲しいデータが見えなくなった。それを探し出す“飛び道具”としてESPが注目されている」と分析した。
ZDNet Japan編集長
山下 竜大
また、Web 2.0においてフォークソノミー、いわゆる集合知が注目されているが、どのようなキーワードでサーチされているかを、ESPのログを分析する企業も出てきた。社員が何に困っているか、あるいは何に興味を持っているか、といった傾向を分析して、研究開発や改善につなげているそうだ。
サーチ用インデックスを活用した情報漏えい対策もある
本パネルディスカッションの締めくくりとして、栗原氏は「おそらく、インターネットサーチなしに仕事ができるという人はいないだろう。デスクトップサーチも、このカンファレンスに参加している人の半数に普及していることを考慮すれば、エンタープライズサーチもバリューは出せるはずだ」と述べた。
渡辺氏は「サーチは、これまで『探す』と訳されてきたが、探すという行動パターンに囚われると視野が狭まってしまう。つなげる使い方もあり、そろそろ別の言葉を考えいい時期にきている」との認識を示した。
吉川氏も「ESPはサーチ用にインデックスを生成しており、これは企業内情報のサマリーであり、データへのポインタや更新通知も含まれている。それをモニタリングすれば、大量にデータへアクセスする人などを監視でき、情報漏えい対策にも適用できる。実際に、ESPを使ってウォーニングやアラートに使っている事例もある」と述べた。
単なるサーチを超えた使い方があるESPは、ますます企業の注目を集めるだろう。