住友電工情報システムのビジネスソリューション開発部QuickSolution開発課長である武並佳則氏は、大容量データの高速検索に強い類似情報検索エンジンとして知られる同社の「QuickSolution」について、その機能とともに、大規模な携帯電話情報サイトでの利用例や、東京大学工学部の「知の構造化」プロジェクトでの適用例など、エンタープライズクラスの事例を紹介した。
エンタープライズで300サーバの導入実績を持つQuickSolution
住友電工情報システム株式会社
ビジネスソリューション開発部
QuickSolution開発課長
武並 佳則氏
住友電工情報システムの類似情報検索エンジン「QuickSolution」は、表面で目立つ分野ではECサイト内の商品情報の検索エンジンとして、奥深い分野では企業内のXML情報の検索に、あるいはパブリックな分野では携帯サイトや大学などで利用されている。現在までの導入実績は300サーバとなっている。
人気の高い携帯向け情報サイトでは、全国1000万件規模のスポット情報を提供し、検索エンジンにQuickSolutionを採用している。店名や住所などの記憶が曖昧でも、その情報を入力すればピンポイントに探せるのが特徴だ。
また、大容量のマルチメディアコンテンツの検索フロントにもQuickSolutionが採用されている。映画や音楽などの膨大なコンテンツのメタ情報を検索する。ミュージシャン名などを多少間違っていても、表記の揺れを吸収して簡単に検索できる。
東京大学工学部の「知の構造化」プロジェクトでもQuickSolutionが利用されている。具体的には、工学部や学外向けのオープンコースウェアのシラバス検索ツール「MIMA Search」のエンジンに採用された。キーワードに関連するシラバスを構造化・可視化(トピックマップ)されて、講義間の関連度が理解しやすくなり、学生が履修科目を決める際の手助けになる。関連度の高いものを近くに図示したり、同じカテゴリに分類されるものが同じ色で表示したりすることが可能だ。
これ以外にもエンタープライズの事例としては、ナレッジ共有システムへの組込み、文書サーバ群を統合する検索ポータル、メールアーカイブシステムの操作ログからの検索、FAQやヘルプデスクにも活用されている。
“スーパー”なエンタープライズサーチである理由
一般に、エンタープライズサーチの要件を挙げるとすれば、次の5つになる。1つ目が、RDBの検索が可能であること。2つ目に、アクセス権限管理を継承できること。3つ目が、検索要求に沿った妥当な順序(ランキング)で結果を表示できること。4つ目は、社内の既存システムと連携できること。5つ目が拡張性で、大規模でも一定の速度を保って検索を実行できることだ。
これらの要件に対して、QuickSolutionは“スーパー”なエンタープライズサーチとして次のような要件を満たすと、武並氏は解説する。
1つ目が、類似検索(自然文)と属性検索を組み合わせたハイブリッド検索ができ、RDB検索はもとよりXML-DB検索にも対応すること。インデックス更新も速い。2つ目が、Active DirectoryやNotes、Exchangeの権限を継承。しかもパフォーマンスを犠牲にせずにリアルタイムに権限を継承できること。3つ目は、自然文の検索結果を類似度やアクセス頻度などでランキング表示できること。検索漏れや検索ノイズにも対応する。4つ目は、Java/RMI/COMなどの標準的なAPIに対応すること。他社製品への組込み実績も豊富にある。5つ目が、高い検索性能にあり、1000万件を0.1秒で検索でき、1台のPCサーバで1テラバイト(1億件のテキスト)を検索できることだ。