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ESPイベント特集

パネルディスカッション

エンタープライズサーチが企業競争力を高める、その根拠を探る――パネルディスカッション

梅田正隆(ロビンソン)
2006/09/28 18:00

ZDNet Japanエンタープライズカンファレンスでは、企業での実装が進んでいくと見られるESP(Enterprise Search Platform)についてパネルディスカッションが行われ、「エンタープライズサーチがどのような形で企業競争力に結びつくのか。その根拠は何なのか」といった観点で議論が交わされた。パネラーとして渡辺聡事務所 代表でありCNET JAPAN Blog「情報化社会の航海図」の著者でもある渡辺聡氏、株式会社テックバイザージェイピー 代表取締役である栗原潔氏、みずほ情報総研株式会社 コンサルティング本部 システムコンサルティング部 シニアマネージャー(技術士・ITコーディネーター)である吉川日出行氏の3氏が登壇。モデレーターをZDNet Japan編集長の山下竜大氏が務めた。

ESPは効率性とイノベーションの両方を狙える

 本パネルディスカッションでは、まず、パネラーがESP市場についてどのように見ているか、それぞれの視点から解説した。

株式会社テックバイザージェイピー 代表取締役 弁理士 栗原 潔氏 株式会社テックバイザージェイピー
代表取締役
弁理士
栗原 潔氏

 テックバイザージェイピー 代表取締役の栗原潔氏は、エンタープライズサーチについて「これまでのワークプレイステクノロジーのバリューを考えると、コラボレーションやプロダクティビティといった要素があり、効率性を狙うのか、あるいはイノベーションを狙うのか選択する必要があった。両方を狙うと失敗してきたのが、エンタープライズサーチは両方を狙えそうな感触がある。記憶しているものを探せるし、新しいアイデアを見つけるための何かを探すこともできる。そのどちらにも対応できることが可能性として大きい」と分析する。

 また、これまでSQLで検索してきた構造化データを、非構造化データを得意とするエンタープライズサーチでも扱えるユーザーメリットは大きいこと。さらに、Web2.0の世界の「フォークソノミー」への対応、あるいは「セマンテックス」の領域にまで踏み込んだサーチなどは楽しみな分野と指摘した。

緩やかな情報統合の基盤サービスとして「つなぐ」使い方に注目

渡辺聡事務所 代表 渡辺 聡氏 渡辺聡事務所
代表
渡辺 聡氏

 渡辺聡事務所 代表の渡辺聡氏は、まず、ESPが注目されている背景として、世界で生成されるデータ量が近年爆発的に増加していることや、サーバー等の急増によるデータの分散化が問題となっていること。さらには、ビジネスマターとしてサプライチェーンにおける情報連携の問題の解決策として検索技術に注目が集まっていることなどを挙げた。

 渡辺氏は「ESPは、緩やかな情報統合の基盤サービスとして注目されている。データ構造がある程度わかっている場合は、リアルタイム的にRDB内でテーブルとテーブルを引っ掛ける感じで、システム間を統合することができる。会社間の長いサプライチェーンやCRM情報をつなぐといった使い方に注目が集まっている。海外では最近、ERPやCRMといった基幹系よりも、ESPの方が重要との見方も出てきた。統合に関するオプションが1つ加わったことは意義深い」と分析する。

セキュアなデータへのアクセスを提供するESP

みずほ情報総研株式会社 コンサルティング本部 システムコンサルティング部 シニアマネージャー 技術士(情報工学部門)、ITコーディネーター 吉川 日出行氏 みずほ情報総研株式会社
コンサルティング本部
システムコンサルティング部
シニアマネージャー
技術士(情報工学部門)、
ITコーディネーター
吉川 日出行氏

 みずほ情報総研 システムコンサルティング部 シニアマネージャーである吉川日出行氏は、一昨年頃からエンタープライズサーチが注目されるようになったが、昔の検索エンジンと今のエンタープライズサーチとは異なると指摘する。

 「昔の検索エンジンは、単体でファイルサーバー等を検索する目的で用いられた。最近のエンタープライズサーチは、プラットフォーム化して検索基盤をつくろうという動きになっている。これを企業内検索基盤と呼んでいる。企業内に存在するすべてのデータやコンテンツを対象に検索機能を提供するプラットフォームだ。ERPやCRM、さらには外部のインターネット情報までを横断的に検索できることが特徴となる。さらには様々なシステムに組み込んで、システムの機能の一部として呼び出して使えることもポイントとなる」(吉川氏)

 吉川氏が定義するESPは、次のようになる。まず、組込み可能な検索ツールであること。ESPはインデックスをプールしており、APIを用いて呼び出す側のシステムに合わせた形で結果を渡せる。次に、ESPは多様なデータのインデックスを持つ。画像や非構造化データ、あるいはデータベースの構造化されたデータを横断的に集め、それに関するサマリー情報などのインデックスを蓄積する。3つめに、ESPは認証系システムとの連携することでセキュアなアクセスを提供する。インターネットの検索エンジンとは異なり、権限を反映した形で検索結果を提供する。この3つがエンタープライズの基盤として欠かせない。

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