社内の情報共有を高度化させるため、さらに顧客へのセールスやサポートを強化するための手段として注目を集めるエンタープライズサーチ。では、現状、企業においてエンタープライズサーチはどれほど普及しているのか。また、企業はエンタープライズサーチをどのように活用しているのか――。アクセラテクノロジ代表取締役社長の進藤達也氏は、国内企業910サーバ以上という豊富な導入実績をもとに、具体的な事例を通して活用動向を概観した上で「企業内検索5つの定石」として要点を説明した。
アクセラテクノロジ株式会社「エンタープライズサーチは社内情報の共有のみならず、お客様とのコンタクトを高度化させる手段としてもきわめて有効だ。」アクセラテクノロジで代表取締役社長を務める進藤達也氏は、9月に開催されたエンタープライズサーチカンファレンスの同社セッションの冒頭でエンタープライズサーチのメリットについてこう強調した。
一般に、年々増え続ける社内の情報を迅速に探し当てる手段として注目されることが多かったエンタープライズサーチ。だが、進藤氏によると、社外の顧客に対するセールスやサポートなどの支援にも、活用されているという。具体的には、eコマースサイトなどにおいて、膨大な商品カタログや商品にまつわる口コミ情報、FAQなど、さまざまなコンテンツの中から、顧客が欲するものを迅速に提供できる環境を整えることでサイトの価値を向上させ、リピート率やサイトの売上に貢献する。
同社ではこのように“お客様とのコンタクト”と“社内情報の共有”の二つの用途に合わせた構築・導入を国内で行ってきた。前者の用途ではリクルートや日経BPなど、後者の用途では三井物産やみずほ情報総研、NTTデータなどの企業に採用されている。累計出荷数はサーバベースで910台以上に達するほどだ。
現状、情報活用を活性化するための手段としてエンタープライズサーチに対する企業の関心は着々と高まっている。しかしその半面で、エンタープライズサーチの現状や具体的な利用方法などにまつわる情報は決して多くはないのが実状だ。これに対して進藤氏は、同社の検索ソフトウェア・Accela BizSearchの導入実績をもとに説明した。
「Accela BizSearchの業種別導入比率は、その上位から製造業の28％、IT系の23％、官公庁・自治体の21％と続いている。上位2業種は業務の過程で大量のドキュメントが作成される点が共通している。また、官公庁・自治体のシェアがこれほど高い背景には、Webを介して情報を配信することで、市民サービスの向上を図りたいという意識の高まりがある。」（進藤氏）
同氏が指摘するとおり、膨大な情報の中から必要なものを迅速に検索するとともに、Webを介して情報を素早く提供するためにエンタープライズサーチが利用され始めている。
同社ではこれまで、Accela BizSearchの標準検索画面をそのまま用いる「Ready to use型」と、既存システムとの連携や専用画面作成を伴う「構築型」の2つのアプローチで、企業におけるエンタープライズサーチ環境の整備を支援してきた。そして、実際に同社に構築を依頼する企業のうち、前者を選択するのは3割にとどまるのに対して、後者は7割にも達するという。
「Ready to use型では部門レベルの共有ファイル内の検索や、大規模ストレージを用いたデータの集中管理など、比較的シンプルな利用にとどまっている。これに対して、多くの企業が選択した「構築型」では、提案資料の再利用率アップやFAQを用いたサポートデスクの一時回答率アップ、EIPによる全社レベルの情報共有など、業務改革を視野に入れた高度な情報活用を指向している。エンタープライズサーチとは特定のソフトウェアやアプライアンスサーバを指すのではなく、このように業務サーバと連携したシステム全体を指すべきである。」（進藤氏）
Accela BizSearchであれば、さまざまなシステム内に分散管理されている情報を、ゲートウェイを介して自動収集／検索できる。データベースや業務システム内のデータをXML形式で抽出して、インデックスを作成することも可能だ。企業内に散在するデータに対して、Accela BizSearchをポータル化できるということになる。
