通信用チップの日本IDTは1月16日、スイッチやルータなどのネットワーク機器の中でどれくらいのパケットが流れているのかを収集する専用チップ「統計エンジン」を開発したと発表した。同社によれば、このような専用チップを開発したのは業界初だという。
既存のスイッチやルータでもパケットがどれくらい流れているかを収集するための機能は使われているが、一般的にNetwork Processor Unit(NPU)やASIC(特定用途向け集積回路)などのチップが使われている。
しかし、日本IDT会長の神山渡氏によれば「NPUやASICでは処理能力に限界がある。あるメーカーのNPUでは、パケットの統計データ収集のために処理能力の半分が使われることがある」と説明。そのために、本来の機能が果たせないことがあるという。
「日本IDTが開発した統計エンジンを使えば、統計エンジンがパケットの統計情報を効率的に処理できる。そのためにパケットを処理するプロセッサは、ほかの演算処理に集中できるようになる。統計エンジンを搭載したネットワーク機器は、従来より処理性能を90%改善することができるようになる」(神山氏)
統計エンジンを搭載するネットワーク機器は10Gビット級のイーサネットスイッチやテラビットルータのほかに、ハイエンドからミドルレンジのルータ、レイヤ4〜7のスイッチなどを、日本IDTは想定している。実際の製品はいずれも2006年4〜6月期に出荷が開始される予定。
神山氏は、今後のネットワークインフラについて「課金システムやQoS技術、帯域幅管理などが要求され、またセキュリティ機能の向上も求められている。つまりネットワークインフラは、これまで以上に“インテリジェンス”が求められている」と説明。そのためにスイッチやルータなどのネットワーク機器にどれだけのパケットが流れているのかを収集する統計エンジンが必要になると神山氏は語る。