開発環境に加えて本番運用でも利用されることになった2.0だが、その「開発方法・手法も大きく変化している」(同氏)。それ以前は、2週間に1回の割合で限定された開発メンバーが顔を合わせて開発していたのに対して、2.0ではネットで開発メンバーを募り、ネット上のツールを利用して連携しながら開発するという体制が取られたのである。
また、2.0より前の版では、新潟県内に在住する開発者で開発されていた。だが2.0では、新潟県在住以外の開発者も開発メンバーに加わっている。「東京在住だが、新潟出身という開発者がいる」(同氏)のである。
アップグレードへの対応を迫られる
こうして開発された2.0だが、その完成で見えてきた課題があるという。課題の一つとして湯川氏が挙げたのが、「アップグレードに対応していない」ことだ。セキュリティなどの問題に対して、アップグレードという効率的な解決方法が取ることができなかったのである。この状況を変えるため、次のNiigata Linux 3.0では、「yum」に対応したアップグレード環境を構築する必要があると、同氏は指摘している。
またユーザーから「Niigata Linuxをインストールしたが、具体的に即座に役に立つアプリケーションがなくて、困っている」という声も聞こえてきている。「PostgreSQLやMySQLが使えるのならば、Firebirdも入っているべきでは」という指摘も受けているそうだ。
こうした課題とは別なものとして、最近市場で流通している、いわゆるレガシーフリーのPCの場合、カーネルが「ちょっとでも古いと、ハードウェアを認識しないという問題が起きている」(同氏)ことも存在するという。同氏は「例えばオンボードのデバイスへの対応、特にNIC(Network Interface Card)で問題が発生している」と指摘している。
これらの課題を解決するために、3.0で実現したい機能として以下のようなものを挙げている。
- yumによるアップデート(yumのためのサーバ構築が必要となる)
- OSSのグループウェア「JET/JOB」の同梱
- Zend Framework対応の強化
- Firebirdの同梱
- 新しいカーネル
カーネルを新しくすることで、「せめてHDDやCD-ROMだけは認識できるようにしたい」(同氏)。またさまざまなSATAやSATA to IDE bridge I/Fにできるだけ、対応していきたいと湯川氏は説明している。
3.0がベースとするディストリビューションは、CentOSの4.5、もしくは5.0になると見られている。CentOS 4.5のカーネルが2.6.9だが、5.0のカーネルは2.6.18となっている。Niigata Linuxの現行の2.0で利用しているカーネルが2.6.11となっていることから、現時点でのベースはCentOS 5.0になるのが有力と湯川氏は見ている。