2008年のSMBは引き続き“守り”に対するIT投資が主流に--ノークリサーチ分析

田中好伸(編集部) 2008年01月09日 19時40分

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 2008年の中堅・中小企業向け(SMB)市場は2007年に引き続いて「守りに対するIT投資」が主流になる――。ノークリサーチが1月9日に発表したSMB市場の2008年の展望では、SMB市場をこのように分析している。

 同社は、SMB市場をまず年商5億円以上500億円未満の民間企業と定義づけ、さらにその中で中堅企業を3つのクラスに分けて、上から順に、年商300億〜500億円の中堅Hクラス(約2100社)、同100億〜300億円の中堅Mクラス(約9800社)、同50億〜100億円の中堅Lクラス(約1万3500社)、加えて同5億〜50億円の中小企業クラス(約18万社)――の計4カテゴリに分けている。企業数で見ると、SMB市場に該当するのは全国で約20万5000社としている。

 上場企業は全体で5100社程度あるが、そのうちSMB市場の比率は60%を超えている。このことから同社では、「年商によるIT投資という単純なクライテリアが通用せず、“新興企業、成長企業”という便宜的な呼び方をされる場合もあるが、SMBは“エンタープライズ(大企業)予備軍”という見方も正しくない。一部でその場合もあるが、SMBはいつの時代にあってもSMBであり、常に重要なIT市場と見なされていて当然」と分析している。

 SMB市場の2008年を表すものとしてノークリサーチでは(1)SMB市場はパッケージ全盛期の到来、(2)SaaS(Software as a Service)はSMB市場でスロースタート、(3)SMB市場のIT投資は「守り」に振れる、(4)SMB市場の「戦略系」は依然模索状態が続く、(5)SMB市場はネットワークコンピューティングによって再起動――という5つのキーワードを示している。

 (1)については、SMB市場での基幹系システムのパッケージ導入が本格化する時代を迎えているというものだ。エンタープライズ市場が踊り場を迎える中で、SMB市場でのERPパッケージ導入は拡大期を迎えていると分析している。

 (2)についてノークリサーチでは、「SMB市場では現在、パッケージ全盛期を迎え、ベンダー各社もSMB向けビジネスモデルが固まりつつある段階で、すぐにSaaSに方向転換するはずがない」と分析。その上で、SMB市場では、目的に対して利便性やコスト面の折り合いさえつけば、提供スタイルはどうでもいいとしている。そうしたことから、ノークリサーチでは、SMB市場のSaaSの見方に対して、「業界期待度は高いが、SaaSはソフトではなく、アウトソースサービス」としている。

 (3)に関しては、SMB市場は内部統制やセキュリティ、アウトソース、運用管理などの守りのITに重点を置く傾向がますます強くなるとしている。「バラバラに入れすぎたサーバやクライアント、アプリケーションなどの管理や統合などの面での課題が浮き彫りになっている」と分析している。

 (4)の模索状態が続く「戦略系」というキーワードについて同社では、「SMB市場でも戦略系ITのニーズは間違いなく存在するが、使えるITが存在しない」と判断。「SMB市場で使用されるに値するIT機能、価格、提案、サービスを行える売り手がいない。そのためにまだ市場になり得ない」と分析している。

 そうした上で、SFAやCRMに代表される戦略系のITソリューションが、企業のコアビジネスにかかわるだけに多くの売り手が“コアビジネス提案”をできない現状から見て、理解の薄いユーザー企業が買うはずがないとしている。

 (5)のネットワークコンピューティングによって再起動というキーワードについては、SMB市場ではネットワークインフラ敷設で本格的なネットワークシステムが完成したことから、ネットワークコンピューティングでの業務システムのリアルタイム処理やデータの一元管理、情報系システム、グループウェアなどの有効利用など、SMB市場では今まで導入していたが、十分に活用できなかったIT資産の本格的活用段階に入ると分析している。

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