ITにおける永遠の命題:自分で作るか、購入するか? - (page 3)

文:John Sheesley(Special to TechRepublic) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子

2008-10-22 08:00

自社のデータセンターvs.外部のデータセンター

 中小企業はこれまで、データを保管するための場所として小さなサーバルームを構築することが一般的であった。しかしアプリケーションの複雑化とニーズの増加に伴って、より多くの企業が本格的なデータセンターを必要とするようになってきている。このため、まだそれほど一般的ではないものの、自社でデータセンターを構築すべきか、外部のデータセンターを利用すべきかという決断の重要性が増してきている。

 ここで考慮の対象となるコストは、ちょっとしたシステムのそれよりもはるかに大きいものだ。サーバやラック、空調設備、運用を続けるための電気代などのコストを考慮しなければならないからである。また、セキュリティの問題もある--企業の資産を他社に託すのか、物理的な管理を自ら行い続けるのかということだ。

 外部のデータセンターを利用すれば、高いスケーラビリティを容易に実現することができる。そこにはサーバや空調設備、その他必要なものすべてが既に用意されているのだ。あなたがしなければならないことは、追加のスペースに対してお金を支払うということだけである。

 しかし、パフォーマンスが問題となるおそれもある。リソースが自社にないということは、ユーザーがデータをやり取りする際に帯域幅の問題からくる制約を受ける可能性もあるということになる。また、自らで直接対処することのできない障害が引き起こされる可能性も出てくる。つまり、あなたの企業と外部のデータセンターを接続するための通信回線に障害が起こった場合、あなたは何もすることができないのだ。

全IT業務のアウトソーシング

 企業によってはIBMやHPといった会社に自社のIT部門をアウトソーシングするという決断を下したところもある。自社内に専門知識を蓄積するのではなく、サービス企業にIT業務を委託するのである。こういった形態のサービスはIBMのような会社にとってはおいしいビジネスとなっており、大企業にとっては多額のコスト削減が可能となっている。ビジネスという観点から見た場合、ビジネスの低迷時には簡単に契約を見直すことができる。これは従業員を一時解雇するよりも簡単なことなのである。

 中小企業でも、地元のコンサルタントや請負業者に依頼することで、自社のITニーズを満足させることができる。こういった企業は、IT要員を雇用して、不定期な仕事を行わせるには規模が小さ過ぎるのである。つまり、IT業務を行わせるために従業員を教育したり、新たに人を雇用する理由などないということになるのだ。

 IT業務をアウトソーシングする場合、仕事を任せる社外の人間が、あなたの会社に対して何らかの関心を抱いているとは限らないという点に注意が必要である。何か問題が起こっても、彼らは他の契約相手のもとに去っていくという事態になるかもしれないのだ。また、彼らはあなたの会社に対する帰属意識を持ち合わせていないため、業務一般についてそれほど興味を持たないことも考えられる。彼らは必要な関係を築こうとしなかったり、自社の従業員であれば持っているはずの洞察力を持ち合わせていない可能性もあるのだ。また、自社の従業員であれば、外部要員が持っていないような知識に基づいて建設的な提案をすることもできるはずである。

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