一方で、生前のサービスと異なり、死後のサービスに対しては、われわれは図々しくも永続性を求める。従って、お寺や墓地に(幻想かもしれないが)永続的なサービス提供のイメージがあるのと同様、オンラインで人の生きた証を残していこうというサービスも永続性が求められるだろう。つまり、サービスを選ぶときの一つの基準は、果たして永続性のあるビジネスモデルなのだろうかという点に向かう。
そうした中、先のTechCrunchが期待を寄せる1000Memoriesという新しいサービスがある。これもRespectanceと同様に、死者を記念するサイトをホスティングするビジネスである。が、こちらは無料サービスとして提供されている点がほかとは異なる。TechCrunchの記者は、こうしたサービスはお金を取るべきでないという考えを持っているようで、1000Memoriesを絶賛しているが、ビジネスモデルはどうかというと、まだ考え中ということである。
このサービスが今後どのようなビジネスモデルを打ち立てるかは判らないが、永続性を考えると、サイトを利用する当事者へ直接に課金することは、初期費用以外には難しいだろうと思われる。かといって、そのときに過大な費用を取ることはできない。むしろ、何らかのサービスの付加的なサービスとして提供する方がよりリアリティがある。たとえば、墓地の販売とのセットサービスであるとか。あるいはお寺のサービスの1メニューとしてなど……。
筆者紹介
飯田哲夫(Tetsuo Iida)
電通国際情報サービスにてビジネス企画を担当。1992年、東京大学文学部仏文科卒業後、不確かな世界を求めてIT業界へ。金融機関向けのITソリューションの開発・企画を担当。その後ロンドン勤務を経て、マンチェスター・ビジネス・スクールにて経営学修士(MBA)を取得。知る人ぞ知る現代美術の老舗、美学校にも在籍していた。報われることのない釣り師。