クライアントはマルチデバイス時代に突入--日本IT市場予測10項目(前編) - (page 3)

田中好伸 (編集部)

2011-12-30 16:47

5.BC/DRは仮想化技術の進展とクラウドサービスの成熟によって再構築が進む

 東日本大震災と以降の電力供給問題は、ユーザー企業の事業継続管理(BCM)の意識を大きく変えることになっている。事業継続計画(BCP)の必要性や重要性に対する意識もそうだが、これまで想定していたリスクとその対応策が必ずしも十分でなかったことが判明したことで、DRを見直さざるを得ない状況になったと分析している。

 現時点で再構築を検討する場合、過去の状況と大きく異なるのは、仮想化技術の発展とクラウドサービスの充実だ。ハイパーバイザの普及が本格化しているのは明らかであり、ネットワークの仮想化でも進展があるとしている。データセンター間(ドメイン間)連携のネットワーク仮想化も実用化への検証段階に入っているという。クラウドサービスでも国内ベンダー、通信事業者の本格参入で選択肢が豊富になると同時に、サービス提供価格も使いやすい価格帯に下がったと説明している。

 この状況では国内のBC/DRソリューション市場に2つの重要なトレンドがあると説明。1つはハイエンド市場でのプライベートクラウドの構築とデータセンター連携。もう一つはミッドレンジやローエンドの市場に向けたパブリッククラウドとを組み合わせたハイブリッドクラウドとしている。

 2012年5月頃にはBCMの国際規格(ISO 22301)が正式発行される予定であり、BC/DRソリューション需要の拍車がかかるとみられることから、2012年は重要な時期になるとしている。

6.モバイル端末や3.9G/LTEサービスの早期展開で通信事業者ネットワークインフラ市場が活性化する

 2011年は、東日本大震災の影響から通信事業者のネットワークインフラが見直されるようになっている。インフラの全般的な復旧工事に加えて、信頼性や災害時の継続性、DR対策を強化するために、ネットワークの冗長化、大ゾーン基地局の導入、衛星エントランス回線の配備、基地局バッテリの24時間化、無停電装置の設置などインフラ面に投資されている。

 だが、主要通信事業者のネットワークインフラ投資はすでに一巡しており、通信サービス市場が伸び悩む中で、多くの通信事業者はネットワークインフラ投資を縮小する方向に動いているという。IDCの調査によると、2011年の通信事業者の通信機器の初期導入費用市場規模は1兆622億円となり、前年比でマイナス成長になった。

 その一方で、スマートフォンをはじめとするモバイル端末の需要は急速に拡大を続けている。通信事業者は、2012年に基地局の配備を急ぎ(アクセス強化)、メトロエッジとコアネットワークインフラ用伝送機器の増強(バックボーンの容量拡大)などの投資を拡大させると説明する。低コストで迅速にワイヤレスサービスエリアを拡大し、同時にネットワークインフラを分散させるために、Wi-Fiやフェムトセルなどのオフロード用インフラの導入も拡大傾向にあると分析している。

 2012年には、NTTドコモによるLTEサービスエリア拡大の前倒しに加え、KDDIとソフトバンクモバイルによるLTE(とTD-LTE)サービスの早期展開が期待され、ワイヤレスネットワークの初期導入費用が3.5GからLTEに向けて大きくシフトする年になると説明している。

(後編は12月31日に掲載予定)

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