現代のお茶の間留学としての「MOOC」
その昔、「お茶の間留学」をうたうテレビCMがあったが、ネットにつながったコンピュータさえあれば、世界中どこからでも授業を受けられるという点では、MOOCも一種のお茶の間留学といえるだろう。
ただし、一番の違いはその中味。スタンフォード、MIT、ハーバード、プリンストンといった大学で行われているのと同じ内容の授業を受講できる。また、期間中の課題提出や終了時の試験まであるという点、さらに受講生と教官あるいは受講生同士が掲示板などを通じてやり取りできるといった点で、「iTune U」で提供されているビデオ教材などを使った独習とも異なる。
まずフリードマンは、スタンフォードで教鞭をとるコンピュータ科学者二人が立ち上げた「コーセラ(Coursera)」というサービスについて触れている。そのうちの一人は、Google Brainプロジェクトをはじめたアンドリュー・ウングだ。
コーセラは38の講座数と約30万人ほどの受講者数でサービスをスタートしたが、現在では講座数214、受講者数は(おそらく累計)240万人、参加大学数は33校(スタンフォードをはじめとする各校の教授が講義)まで規模を拡大させた。
また、MITとハーバードが共同で立ち上げた非営利のサービス「エドエックス」(edX)は2012年秋から講義を開始し、その後、UCバークレーやジョージタウン大なども参加している。こちらには、世界中から15万人以上の受講者が登録した授業もあるという。
そのほか、自動(無人)運転車の開発やGoogle X Labの立ち上げなどで知られるセバスチャン・スランが音頭をとってはじめた「ユーダシティ」(Udacity)なども出てくる。
各サービス運営者のスタンスも面白い。エドエックスは非営利団体であるのに対し、コーセラやユーダシティは営利企業。なお、ユーダシティにはベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツやチャールズリバーが投資していたり、コーセラにはクライナー・パーキンスのジョン・ドゥーアが出資していたりという点も興味深い。