しかしマイクロソフトとしては今後、日本においてもSMBに対してより強くOffice 365を訴求していきたいと考えています。既にそのための施策を実行に移しつつあります。すでにオットージャパンなど、すぐれた国内中堅企業によるOffice 365事例はいくつか出ていますが、今後は新規のSMB顧客の獲得により注力していきます。
--具体的にはどのようにSMBに訴求していくのでしょうか。
マイクロソフトはパートナービジネスが主体なので、リセラーチャンネルを通じたパートナープログラムで提供を進めていきます。特に2012年7月に発表したパートナープログラム「Office 365 Open」 は、パートナーが直接ユーザー企業に課金できるシステムですが、これを日本でも2013年からようやく本格的に開始しました。日本の優秀なパートナーがどんな価値を付加してOffice 365をSMBユーザに提供してくれるのか、非常に期待しています。
--SMB企業の中には、Office 365というよりはクラウドにまだ懐疑的なユーザーがいます。そうした人々にOffice 365、そしてクラウドの利点をどのように訴求しますか。
指摘の通り、クラウドは一部のユーザーにとってまだミステリアスな存在のようです。それは主にセキュリティの不安からくるものでしょうが、その点に関してはマイクロソフトが提供するデータセンターが安全性を担保していることでかなり払拭されるのではないでしょうか。
私が一番SMBのユーザーに伝えたいのは、クラウドが従来の常識のすべてを変える存在であることです。これまで大企業しか使えなかったような機能を持つセキュアな環境が、1時間もかからず、数人規模の小さなオフィスにも低コストで実装できる。
片田舎の小さなショップが手軽に大企業と同じソフトウェア環境を利用できる――この意味でクラウドはITを民主化するソリューションだとも言われます。Office 365がすばらしいのは、大企業にもSMBにも分け隔てなく提供できるところです。SMBのビジネスを次のステージに押し上げることが、Office 365の重要な役割です。
クラウドの良さを伝える点としてもうひとつ、ディザスタリカバリを挙げられます。私の普段の拠点は米シアトルですが、ここは日本と同じく地震の活断層が通っている場所です。ビジネスオーナーであれば今や誰もが災害時のリカバリ対策を考えており、その筆頭はやはりクラウドです。世界のどこにいてもデータを安全に保管できるOffice 365は、クラウド導入のきっかけとしても適しています。