具体的には、他のハイパーバイザよりも、われわれの方が50%多くのVMを実装できます。サーバの数が多くなれば、管理や冷却などさまざまなコストが上乗せされます。VMwareのハイパーバイザ市場が成熟していくにしても、この面での技術的な優位性は動かないと考えています。また、移行する場合は管理ツールなどを購入するスイッチングコストもかかってきます。
--(クラウド基盤を構築するためのオープンソースソフトウエア)「OpenStack」との競合を指摘する声もあります。どう差別化していきますか?
OpenStackはユーザーが固有のクラウドを構築するためのフレームワークです。VMwareは、ユーザーが自らコンポーネントを開発する必要のない、あらかじめ出来上がったソフトウェアを提供するものです。そうしたソフトウェアをOpenStackベースで提供する例も出てきていますが、われわれの製品と比べれば機能面でまだまだ不完全です。われわれはその辺りの開発に10年以上時間を使ってきているからです。
High Availability (HA)、Resource Scheduler(DRS)、ストレージ、vMotion、マネジメント、コネクタ、ツール、自動ロードバランシングなどなど、比べれば、OpenStackベースの製品がまだ未成熟であることが分かります。
それでも、OpenStackを選択する企業もあります。特に、サービスプロバイダーなどが、既に持っているOpenStackベースのシステムをさらに深く作り込みたいといったケースがあります。そうした企業には、ハイパーバイザを含めたVMwareの各コンポーネントを、OpenStackフレームワーク向けに提供できます。また、ネットワークを仮想化する「NSX」や管理ツールを利用することもできます。われわれはOpenStack APIのフレームワークを包含し、使ってもらうことができるのです。
OpenStackベースの管理ツールを利用しながら、VMwareのハイパーバイザを利用しているのがeBayです。彼らはKernel-based Virtual Machine (KVM)のベンチマークを取った上でVMwareを選択しました。
--(EMCとVMwareなどが出資する)Pivotalとはどんな関係ですか。また、AWS、Googleなどから移行したいユーザーに向けてどんな対処をしますか。
Pivotalでは、ビッグデータやクラウドアプリケーションに焦点を当てています。われわれは、Pivotalとパートナー関係にあると同時に独立しています。(VMwareが提供するオープンソースのPaaSソフトウェアである)「Cloud Foundry」が協業分野です。
一方で、「vSphere Big Data Extensions」という機能を「vCloud Suite 5.5」の新機能として発表しました。これは、Clouderaなどもサポートしています。ビッグデータ分野では、必ずしもPivotalと組むというわけではありません。Pivotalとは相互に利益のある形で協業していく考えです。