スマート道路で一石多鳥--発電できる「ソーラー道路」 - (page 2)

Lyndsey Gilpin (TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2014-07-02 07:30

 元米副大統領Al Gore氏が出演した映画「不都合な真実」が公開されてから少し後の、地球温暖化が大きな政治的争点になり始めた頃のある日、一緒に庭仕事をしていた時に、Julie氏はScott氏に「ずっと話していた電気道路のことを覚えてる?あれをソーラーパネルにできないかしら」と言った。


ソーラーパネル上の積雪除去テスト。
画像提供:Solar Roadways

 Scott氏は笑ったが、種が撒かれたのはそのときだった。パネルを覆うケースを作ることができれば、ひょっとすると可能かも知れない。Scott氏は1年間の休暇を取り、ソーラー道路のアイデアに興味を持つ人がいないか調べることにした。

 「結局仕事には戻らなかった。これで給料がもらえるわけでもなかった。収入が少ない時期が続いたが、目の前にはずっとニンジンがぶら下がっており、われわれは前に進み続けた」とScott氏は話す。

 2009年、Solar Roadwaysは米運輸省連邦道路庁から、費用の元が取れる舗装システムの開発とプロトタイプ駐車場の建設に2回の出資を受け、これを完了した。

 この駐車場には2種類のタイプの108枚のソーラーパネルが使われており、同チームはどちらがより効率的かを調べようとしている。「この仕事は無事完了し、望んでいた結果が得られた。もちろんあちこちにうまくいかないところもあったが、それは予想されていたことだった」とBrusaw氏は言う。

 Brusaw氏によればこのソーラーパネルは25万ポンド(約113トン)の重量に耐えられるが、これはトラックトレーラーの法定重量の4倍であり、毎時最大80マイル(約129km)で走行する自動車を停止させられるだけの摩擦がある。何かがぶつかっても、パネルが割れることはない。パネル自体は典型的な屋根用のソーラーパネルと同じだが、ペンシルバニア州立大学とデイトン大学の最高クラスの材料研究機関で数カ月にわたって試験された、ある種の防弾ガラスに覆われている。ベースになっている層は、10%リサイクルガラスから作られている。

 アイダホ州では、太陽が木々の上に少し顔を出すだけ高さまでしか昇らない真冬にテストが行われた。Brusaw氏は、プロトタイプのパネルは1日4時間日光を浴びると想定しており、これは1年間で1460時間に相当する。もちろん、赤道に近ければ近いほど直射日光は多くなり、発電量も増える。しかし、道路はどんな地域でも十分な電力を発生する。

 Brusaw氏とそのチームがこれまでに行った研究の量は素晴らしいものだ。これは、未来を語る観念論的なビジョンではない。同氏はIndigogoの資金を使って、エンジニアのチームを雇い(すでに履歴書を検討し始めている)、サンドポイントにオフィスを構える計画を立てている。Solar Roadwaysのチームがベンチャーキャピタルの出資を求めてシリコンバレーに来るつもりはないし、そこにオフィスを構える予定もない。Brusaw氏は、場所を変えるつもりはないと述べている。

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