簡潔に言うと、Oracleが約束しているのは、「Oracle Cloud」プラットフォームのアップグレードによって、顧客はボタンを1回もクリックすることなく、そして、「コードを1行も」変更することなく、データベースやクラウドアプリをOracleのクラウドに移行できる、ということだ。
Ellison氏は、「データベースやクラウドアプリは、移行されるだけでなく、最新式になる。すごいことだ」と主張し、「あらゆるデータベースアプリケーションを当社のInfrastructure-as-a-Service(IaaS)に移行することが可能だ」と述べた。
アップグレードされたPaaS版「Oracle Database」は、「Java」と「WebLogic」を基盤としており、オンプレミスのOracle Databaseと全く同じ機能を提供する。つまり、ユーザーは容量と計算能力を持つ自分自身のOSおよびVMインスタンスをオンデマンドで利用できる。
自動化も大きなセールスポイントだ。PaaS版Databaseには、自動化されたバックアップやリカバリ、パッチ適用、監視などの機能が含まれる。
Ellison氏は、30日の2回目の基調講演でさらに詳しいことを発表すると約束しており、あらゆるものを元の場所に戻したり、「別の場所」に移行したりできる機能も顧客に提供する、と述べた。
「バックアップアプライアンスがデータベース向けに設計されていない」ことを嘆くEllison氏は、「Zero Data Loss Recovery Applicance」も発表した。
Ellison氏はその製品名が不格好なことを認めており、さらには新共同最高経営責任者(CEO)のSafra Catz氏とMark Hurd氏について言及して「この2人が昇格する前に私がこの名前を付けたんだ」と大声で告白した。この自動化システムの名前を見れば、それがどんなものかはすぐに分かるだろう、とEllison氏は手短に説明した。
Oracleのポートフォリオに関して予定されているほかのアップデートには、「Exadata」インメモリプラットフォームの機能強化が含まれる。「Oracle Database 12c」のクエリアクセラレーションエンジンに対するシリコンレベルでのパフォーマンス改善もその1つだ。すべてをシリコンで処理するので、これらのプロセスは10倍高速化されるはずだ、とEllison氏は述べている。
Ellison氏は、Oracleが同クラウドプラットフォームを最初に発表した2012年ではなく、今になってこれらのことを行っているのはなぜなのか、との質問に機先を制して肩をすくめ、「こうしたことを行うのは難しいのだ」と述べた。
それでも、Ellison氏は競合他社に対する皮肉を何度か言うことを忘れなかった。Ellison氏は、Salesforce.com(と同社の「最初の顧客」である米中央情報局)から次の話題に移って、「Workdayを除けば」、Oracleのデータベースが地球上のあらゆるクラウドを支えている、と皮肉を述べ、SAPのクラウド基盤を痛烈に批判した。
今後について、Ellison氏はデータベースがOracleの最大のクラウド事業になると予測した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。