Oracle OpenWorld 2014

Oracle OpenWorld 2014開幕--クラウドとエリソン新体制のゆくえ

怒賀新也 (編集部) 2014年09月28日 23時54分

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 米Oracleは年次ユーザーカンファレンス「Oracle OpenWorld San Francisco2014」を米国時間の9月28日から5日間の予定で開催する。みどころは、技術面では「Modern Cloud」をテーマに初日となる28日の基調講演に臨む最高技術責任者(CTO)、Larry Ellison氏の発表内容と、Ellison氏が最高経営責任者(CEO)を退いた後のOracleの組織体制だ。

 現地時間の9月18日、突如CEO辞任を発表したEllison氏。さまざまなメディアが報道しており、一般的なのは「シリコンバレーのIT企業に世代交代の波」といった見方だ。1944年8月17日生まれのEllison氏はちょうど70歳の「古稀」を迎え、節目という意味ではなんらかの形でそういった要素もあるのだろう。

 だが、実のところ、Ellison氏に限っては引退のような雰囲気はまったくない。CTO職を新設し、自らそこに就任したことにも一端が見て取れる。

 2013年のOracle OpenWorldに参加したが、Ellison氏が務めた基調講演は、記者として「きつかった」。他社ならば半ば挨拶に終わることも多いCEOによる基調講演。だが、Ellison氏が広げた風呂敷にはいきなり「Oracle Database 12c インメモリオプション」という大物が入っていた。

 ゼスチャーにとどまらず、カラム型データベースの詳細なアーキテクチャをとうとうと語り始めた。理解して記事にするのに骨が折れた。(恥ずかしながら翌朝明け方まで時間がかかり、身体を冷やして熱を出してしまった)。それで、身にしみて思ったこと、それは「とてもCEOが自らやるような内容の基調講演ではない」ということ。

 Oracleの実体は今もまったく変わらずLarry Ellisonであるのが実感だ。経営などの手続き的なことを他者に任せ、CTOとして技術に特化するのだとしたら、むしろこれまでよりも他社にとって大きな脅威になる。

 ただし、現実として「引退モード」なのか、「技術者として製品開発に専念する」なのか。Oracleがプレスリリースで「これまでと変わらない」としている以外に、明確になっていることはない。ただ、いくつかの事実から状況を推測できる。

 1つは、今回Oracle OpenWorld 2014でも、初日の午後5時からのEllison氏による基調講演がメインイベントとして設定されていること。さらに、3日目には、「Hardware Software Engineered to Work Together」をテーマに2度目の基調講演にEllison氏が登場する(予定)。ここでは、元SAPでインメモリデータベース「HANA」をはじめとした研究開発を務め、現在はオフショア開発の大手InfosysでCEOを務めるVishal Sikka氏とディスカッションすることになっている。

 もし、フェードアウトを模索しているのだとしたら、自社製品の技術的根幹部分にかかわる基調講演に2度も立つとは考えられない。

 こうした事実関係から、Ellison氏のCEO辞任は、一歩引いたどころか、むしろ製品開発体制の強化と受け止めた方がよほど合理的な解釈とも言えるのだ。裏腹として、「EllisonなきあとのOracleはどうする」という後継者問題はまだまだ続くということになる。

 もう1つ重要なファクトとして、2人の共同CEOであるMark Hurd氏とSafra Catz氏がレポートすることになった取締役会だが、その取締役会会長にEllison氏が就任したということである。

 日本史的に表現するなら「院政」という言葉が頭をよぎるが、基調講演に2度も登場するとなると、院という雰囲気でもない。

 言わずと知れた大富豪(Forbesでは世界5位の資産4.8兆円)にして、ハワイのラナイ島を所有。京都には歴史的な由緒正しき屋敷を購入した。もはや、「生活のために働く」という庶民の感覚はまったくない。Ellison氏が残りの仕事生活で何をしたいと考えているのかが、今回自ずと見えてきそうだ。筆者個人としては、こうした大富豪がその資産をどのように使いながら、人生の最後を迎えていくのか、日本人経営者を含めて注目していきたいと考えている。

 このあたりの事情――Ellison氏が初日の第一声として何を話すのか――も含め、Oracleが考える技術的動向をZDNet Japanは現地からレポートする。

昨年はアメリカズカップ決勝の応援のため、Ellison氏は3日目の基調講演を突如キャンセルした
昨年はアメリカズカップ決勝の応援のため、Ellison氏は3日目の基調講演を突如キャンセルした

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