Marks氏は、特に小規模な組織では、ITリーダーが幅広いプロジェクトを用意することが難しい場合もあることを認めている。「場合によっては、スタッフが離職することを受け入れなければならない。全員を常に満足させておくのは不可能だ。小規模な組織でIT部門を率いることのメリットの1つは、部下に、より大きな責任を与えられることだ」(Marks氏)
大企業のCIOはこれとは違った課題に遭遇することが多いとMarks氏は述べる。「自由に使えるリソースに応じて、重点を置く領域は異なってくるだろう。IT部門に数百人のスタッフがいる場合には、小規模な組織のCIOとは違った人事問題に直面する。しかし、成功するかどうかは常に、人材の採用と育成、維持というそれぞれの要素の微妙なバランスにかかっている」(Marks氏)
4. 自分の基本原則をチームに伝える
Working LinksのCIOであるOmid Shiraji氏も、ITリーダーとして従業員の採用と育成、維持を遂行する能力は、興味深いプロジェクトを実行する力量に直接関係していると考えている企業幹部だ。「結局は、IT組織として何を達成しようとしているのか、そして望ましいプロジェクトを何年にもわたって実施できるかどうかということだ」(Shiraji氏)
Shiraji氏は、CIOはそうしたプロジェクトを、一連の強固な基本原則の下に組み立てていかなければならないとしている。同氏には信頼、率直さ、責任、達成という4つの原則があり、同氏とそのチームはいつもこの原則に立ち返っている。
「上級管理職としてすることは全て、基本原則に基づいたものでなければならない。自分のチームの誰かが失敗した時、その個人には正直であってもらいたい。私は、人が失敗の責任を認めるのを怖がらない環境、あるいは何か挑戦した場合に責任転嫁しない環境を作るよう努力している」(Shiraji氏)
「私は幹部陣には、自分の価値観について話し、自分のチームの部下に指導する場合には、彼らの価値観について話す。時には、正直にならないことの方が楽に思えるかもしれない。しかし、ITチームとしての強い価値観に沿って仕事をすれば、悪い日よりも素晴らしい日のほうが多くなるだろう」(Shiraji氏)
5. 態度を重視して雇い、実地で育てる
ビーチウェアメーカーOrlebar BrownのシニアITマネージャーであるAbi Somorin氏は、人材開発に対して注目すべきアプローチを取っている。同氏は、インフラのサポートとアプリケーション開発は、毎日のように新たな作業を行う必要がない領域なので、外注するとしている。しかし、IT戦略の中核となる部分は社内で管理しており、最近ではシステム管理者を採用している。
「トレーニングは実地で行われたのだが、これはとても効果的だ。なぜなら、その職員は組織の文化に慣れることができるからだ。トレーニング期間は約8週間で、驚くほど早く過ぎ去った。私が話を聞いた開発代行業者によると、通常の期間は約6カ月だという。しかし、新興企業にとっては、半年は長すぎる」(Somorin氏)
「私はいつも相手の態度を見て、採用するかどうかを決める。人に新しいスキルを教えることはいつでもできる。それは必ずしも容易ではないが、絶対に必要なのはその人を育て上げるためのレシピだ。それが成功するかどうかは、その人の能力を最大限に活用できるかどうかにかかっている」(同氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。