トーア再保険、生保向け引受自動査定システムをBRMSで刷新--画面遷移を定義

NO BUDGET

2015-08-27 12:07

 再保険を専門に手掛けるトーア再保険は、生命再保険向け引受自動査定システムをビジネスルール管理システム(BRMS)で刷新、5月から稼働させている。アシストが8月26日に発表した。

 トーア再保険は損保と生保の両方の再保険を引き受ける、日本で唯一の総合再保険専門会社。再保険業界では近年、金融資本市場からの資金流入に伴い料率のソフト化や競争の激化が進んでいる。気候変動やリスクの複雑化、再保険に関係する国際的な規制や制度面での強化への対応が必要となるなど、環境が大きく変化している。

 生保の再保険でも、これまでは保険の購入が難しかった、健康に不安のある申込者でも加入できるよう生保会社が死亡分野で引受範囲を拡大(条件緩和型保険)しつつある中で、再保険会社の引受査定技術を前提とした生命再保険の利用件数が増加している。

 これまでの生命再保険業務では、担当者者が業務マニュアルを参照し、引き受けを査定してきた。最近では、依頼件数の大幅な増加に加え、多種多様な病気に対応するため査定ルールが複雑化。保険商品も多様化してきており、人的リソースが限られる中で査定業務の効率化が喫緊の課題となっていたという。

 そこで今回、査定ルールの整備やデータ化による業務効率化、ノウハウの蓄積と共有化、査定品質の均一化などを早急に実現すべく生命再保険向け引受自動査定システムの構築を検討。2014年7月にシステム再構築プロジェクトを発足し、自動査定とシステム内での画面遷移を定義するルールエンジンとして、アシストが提供するBRMS「Progress Corticon」(Progress Softwareが開発)を採用した。採用の主な理由は以下の通り。

  • Progress Corticonを利用した引受自動査定システムの導入で査定処理速度の向上だけでなく、査定する担当者自身が査定ルールを登録、変更できる
  • Progress Corticonの利用により、プログラムを開発せずに登録したルールにのっとって査定者が作業するオンライン画面を表示できる
  • 査定ルールやノウハウが蓄積されることで情報を共通化でき、査定者の判断による評点のバラつきを抑制し、経験が少ない担当者でも熟練者と同様に査定できる。担当者の異動や退職によるノウハウ喪失のリスクに備えられる
  • 保険業界でのProgress Corticonの導入実績を評価

 Progress Corticonを採用した、新たな生命再保険向け引受自動査定システムは5月から本稼働。トーア再保険では「査定業務の効率化で創出できた時間を別の業務に割り振ることで、査定担当者の業務の幅をさらに広げられる」と期待を寄せているという。

 同社は今後、蓄積された査定結果を分析し、均一化、標準化、効率化を推進していく予定で、生命再保険以外にもルールエンジンの利用範囲を拡張していくことも検討している。将来的には、国内での競争力強化と海外ビジネスの事業基盤の強化を視野に入れ、生命保険会社に向けて同システムや査定ルール、ノウハウをサービスとして提供していくことも構想している。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

マイナンバーカードの利用状況を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]