プロジェクトが失敗のリスクに晒されていることを示す、企業文化の混乱を表す兆候は数多くある。ここではいくつかの例を挙げてみよう。
・システムやプロセスは効率的なのに士気や生産性が低い
従業員やコンサルタントに不満があると、期限まで作業を完了し、締め切りまでに求められている成果物を生み出すのに必要な時間と労力が、十分に投入されない可能性が高まる。このことは、スケジュールを遅らせ、作業の依存関係を崩す要因となる。
・常習的欠勤や離職が異常に多い
従業員の欠勤率が上昇すると、プロジェクトチームのほかのメンバーの負担が増える。このことは、他のメンバーの憤りと士気の低下を招き、最終的にはさらに離職率が高まることに繋がる。これはコストの増大や作業の質の低下、残る資源の酷使による従業員の燃え尽きなどを生むことになる。
・軋轢や攻撃的態度が増える
どのような事業であっても、さまざまなタイミングで軋轢が発生する。プロジェクトが開始される前から、個人間の軋轢が存在する場合さえある。それらの個人が、同一の、あるいは並行する、あるいは競合するプロジェクトに関与している場合、その軋轢が他のチームメンバーに広がり、プロジェクトに大きな混乱が生じる可能性がある。
・不健全なゴシップが急増する
信じられない人もいるだろうが、企業内に一定のゴシップが存在することは正常であるだけでなく、大きな支障さえなければ、ある程度健全な状態だとさえ言える。これは馬鹿げたことに聞こえるかも知れないが、ある程度のくだらない会話が交わされるのは人間が持つ生まれつきの性質であり、多少のゴシップの存在は、さまざまなレベルでメンバー間のコミュニケーションが発生していることを示している。しかし、不健全なゴシップが急増すると、「普通のおしゃべり」が個人やプロジェクト、企業規模の活動に深刻な危害を加える事態に発展する可能性が出てくる。
・顧客を失うことが増える
企業規模のプロジェクトを実行するために、世界中で多くの資金や資源が投入されている。しかし、プロジェクトの計画、開始、実行の各フェーズの前、またはその間に、状況が根本的に変化していることが認識されないまま、プロジェクトが進められる場合も多い。顧客を喪失した場合、通常は、基本的な状況の変化が、企業や、企業が提供する製品やサービスに関する考え方や合意に、悪影響を及ぼしていることを示している。そのような場合、顧客ニーズの変化に対応しない限り、進行中のプロジェクトはリスクに晒されることになる。例外は、プロジェクトが当初から顧客の喪失を前提としたものである場合や、企業の関心領域が変化しており、プロジェクトが企業の新たな戦略的方向性に合致している場合だ。
プロジェクトの成功や失敗に対する企業文化の影響は大きく、軽視されるべきではない。企業オーナーや経営幹部は、プロジェクトの成功率を高めるような企業文化を生み出し、育てる努力をすべきだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。